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その顔は沈黙していない『沈黙 -サイレンス-』

その顔は沈黙していない『沈黙 -サイレンス-』

表題は『沈黙』だが、顔は雄弁だ。 例えばアダム・ドライヴァー。その黙っていても強烈に主張してくる顔は、今や文芸座で「顔圧ナイト」なる完徹イベントも開かれるほど認知されている顔圧演技法の第一人者、ニコラス・ケイジを凌ぐと言っていい。『スターウォーズ フォースの覚醒』の細かいストーリーは忘れても、森の中で脇腹を叩きながら蜜…
風。絵で動く純文学。『風立ちぬ』

風。絵で動く純文学。『風立ちぬ』

(c)2013 二馬力・GNDHDDTK 本作のネット評を漁っていたら、禁煙協会とかいう団体のクレーム記事が噴出していた。曰く「喫煙シーンが多すぎる」「結核患者の傍で煙草を吸わせるとはけしからん」。 力なく笑ってしまった。なんでもかんでも「今」「ここ」に引き寄せないと語れない人たち。 本作の鑑賞後、吉田喜重の『秋津温泉…
普通の自由を求めることは限りなく狂気に近い『歓びのトスカーナ』

普通の自由を求めることは限りなく狂気に近い『歓びのトスカーナ』

(C) 2016 Lotus Productions, Manny Films, Rai Cinema 『テルマ&ルイーズ』への影響が強いイタリアのロードムービー。もし『テルマ&ルイーズ』のふたりが「男性からの自由」を求めているのであれば、この『歓びのトスカーナ』での主人公ふたりは「人としての自由」を求めている。ほとん…
人に話したくなるイタリア映画祭2017『ジュリアの世界』『夜よ、こんにちは』

人に話したくなるイタリア映画祭2017『ジュリアの世界』『夜よ、こんにちは』

イタリア映画祭2017、気軽な気持ちで行ったにもかかわらず、感情を揺さぶられ涙腺ゆるゆるでした。選んだ作品が琴線に触れたのか、5月という季節が感情的にさせたのかわからないけれど。 『ジュリアの世界』 「エホバの証人」信者一家の長女ジュリアが信仰や家族との関わり、恋愛を通して人生に向き合っていく物語。 自由があるからこそ…
「kana」が選ぶ2017年上半期のベスト5

「kana」が選ぶ2017年上半期のベスト5

2017年ももう半年、上半期ベストを書かなきゃと考えているうちにもう8月半ば。 今さらですが、せっかく作品を選んだのでこちらに書かせていただきます。 第5位 『沈黙』 監督:マーティン・スコセッシ 遠藤周作の原作の「沈黙」をマーティン・スコセッシが映画化!ということで、公開が待ち遠しかった作品。場面ごとに丁寧に作られて…
ダンスの封印は解かれたけれど…『甘き人生』

ダンスの封印は解かれたけれど…『甘き人生』

(C)2016 ALL RIGHTS RESERVED IBC MOVIE SRL, KAVAC FILM SRL, AD VITAM 母と9歳の息子の幸福そうなダンスで幕を開ける本作。 しかし雪の降りしきる日に母は息子の前から姿を消す。 死因が息子に伝えられることはない。 死因は病気を苦にした投身自殺である。息子のマ…
「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年上半期ベスト5

「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年上半期ベスト5

2017年の前半は息をするだけで終わってしまった気がする。とても悲しい。 映画もあまり観れなかったが、そんな中でも印象に残った上半期のベスト5を選んでみもした。否、みました。 第5位『ファウンド』 (監督:スコット・シャーマー) @ヒューマントラスト渋谷 ホラーマニアで殺人鬼の兄と、いじめられっ子の弟が繰り広げる、陰惨…
kiki が選ぶ上半期ベスト5

kiki が選ぶ上半期ベスト5

上半期は合計で56本見た。うち49本が劇場鑑賞、残り7本がDVD鑑賞。 結構見たなあ。劇場で見た数でいうと、今までで一番多い。それでも「見足りない」と思いつづけるのだから、困ったものである。 さて、ベスト5。 それが結構難しく(せめてその倍は選びたい!)、かつ決める時によって変動するのだが、ひとまずは以下のようになった…
「poco」が選ぶ2017年上半期ベスト5

「poco」が選ぶ2017年上半期ベスト5

©2016CTMG 並べてみると大作系が多いなという結果になりました。 第5位『ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー』 (監督:ダニエル・レイム) @YEBISU GARDEN CINEMA 素敵な夫婦のドキュメンタリー作品。夫が絵コンテ作家で妻がリサーチャーという老夫婦の記録です。ハリウッド作品の有名なシー…
光『昼顔』

光『昼顔』

(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社 一切見ていないTVドラマの続編を劇場で観ても楽しめるはずもないし、2006年に観た西谷弘監督の『県庁の星』を当時の僕はまったく楽しめなかったので通常なら当然パスするところなのだが、ついふらっと劇場に足を運んでしまったのは運命のイタズラというか、そもそもたかが映画、そ…
むちゃくちゃな世界『メビウス』

むちゃくちゃな世界『メビウス』

(C)2013 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved. 母が父の浮気に対する嫉妬に狂って息子のペニスをちょん切ってしまいました、というお話。 ペニスが切られるという感覚に直接に訴えてくる激痛感が強烈だ。 が、それ以上に、自分のコアな部分が永遠に葬り去られてしまったのような精神的なダメ…
人はいつか大人になるのだ『光陰的故事』

人はいつか大人になるのだ『光陰的故事』

(C)CENTRAL PICTURES CORPORATION 台湾の1960~80年代を背景に、小学生→中学生→大学生→若い社会人夫婦と変遷してゆく4つの物語を描いたオムニバス。 第1話は、なぜか周囲の大人とも子供ともウマが合わず孤独感を醸し出している小学生の男の子の話で、胸がキュッと締めつけられるようなビターな一遍…
「館長」が選ぶ2017年上半期ベスト5

「館長」が選ぶ2017年上半期ベスト5

7月1日に『シーモアさんと、大人のための人生入門』の上映会も無事終わり(いや、アクシデントありでしたが)、上映会前の約2週間準備に追われて映画を観に行けなかった欝憤を晴らすべく、7月に入ってから観まくっている館長です。 2017年も半分が過ぎ去りましたので、恒例の上半期ベスト5の特集をやらせていただきます。 選考対象は…
本質へ。『シーモアさんと、大人のための人生入門』

本質へ。『シーモアさんと、大人のための人生入門』

(C)2015 Risk Love LLC 自宅でひとりピアノを弾いているシーモア。 ああでもないこうでもないとひとりごちながら、正しい演奏に近づくべくひとつひとつ問題をクリアしていく。 この冒頭シークエンスからたちまち「求道」の凄みが伝わってくる。 パンフレットに書いてあるが映画では描かれていないエピソード。 シーモ…
不意打ちに見るかすかな希望『彼女の名はサビーヌ』

不意打ちに見るかすかな希望『彼女の名はサビーヌ』

若かりし頃の美しく快活なサビーヌと、別人のように太って目も虚ろな現在のサビーヌが交互に描かれる。それはもう徹底的に残酷なほどに「対比」されている。 精神病院に拘束され、強力な薬を飲まされたことで身体の様々な機能が損なわれた結果が今のサビーヌの姿なのだが、現在彼女が暮らしているのはひとまずは丁寧なケアが施されていると思わ…
免罪符『ゴールド 金塊の行方』

免罪符『ゴールド 金塊の行方』

Photo by Lewis Jacobs ドラマや映画には「BASED ON TRUE STORY」いうのがある。いわゆる実録モノに相当する。自伝ものに多く『 ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)、『マイ・レフトフット』(1989)はフィクションの部分がないわけではないが少な目だ。一方これより少しゆるいのに 「IN…
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