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フランス映画

クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

どうして彼女のまわりにいるのはクズ男ばかりなのか。 性欲を満たすことしか考えていない不倫男、レイプ魔、金目当てのヒモ男…。クズとまではいかないが、定職につかずフワフワと生きる息子や売れない小説家の元夫などちょっと頼りない男たちに囲まれている。 どんな男性でも少なからずどうしようもない一面を持っていて、この映画ではそんな...

痛すぎる女の行動に共感できますか?『緑の光線』

痛すぎる女の行動に共感できますか?『緑の光線』

「フランス女は気が強い」フランスをよく知る人がそう言っていた。そしてその人はこうも言った、「いい大人になっても内気で人見知りな態度はフランスでは恥ずべきことだ。しかし、この『緑の光線』の主人公はめちゃめちゃ内気でうじうじした女である。」その言葉を聞いて、これは私こそ観なければならない映画だと思った。というのも、物心がつ...

脱獄映画の傑作『穴』

脱獄映画の傑作『穴』

「脱獄映画は名作ばかりだ」―私が尊敬してやまないK先輩のお言葉である。確かに、『抵抗』、『大脱走』、『暴力脱獄』…、どれも素晴らしい。ただ、そんな中、脱獄という行為自体の緊張感、その過程の困難さ、そして人間のしたたかなすがたを克明に記した映画は、今作をおいて他にないのではなかろうか? ジャック・ベッケル監督の遺作。『穴...

孤独に寄り添い続けるカメラ『ヴィオレット』

孤独に寄り添い続けるカメラ『ヴィオレット』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film08 『ヴィオレット』の主人公は、己のことを「醜い女」といって忌み嫌う。誰からも愛されない。必要とされない。それは自分が醜いから。激しい孤独の中、ひとり苦悩を続けていくすがたが印象的だった。 されど、私は彼女が一人ぼっち...

「一個の人間」の魅力『ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲』

「一個の人間」の魅力『ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film02 近所から「多国籍家族」と揶揄さている主人公一家。主な登場人物は、フランス人夫妻。その長女とアラブ人の夫。次女とユダヤ人の夫。三女と中国人の夫。確かにそこには、多様な民族が混在している。 「俺は差別主義者ではない」と...

「浮遊感」と「停滞感」『ネネットとボニ』

「浮遊感」と「停滞感」『ネネットとボニ』

なんとなく、気持ちよく、漂っている。『ネネットとボニ』はそんな映画だった。 それは「浮遊感」とでもいおうか。冒頭、少女がプールに浮かんで漂うシーンが印象に残る。真っ赤な服を着たまま水に浸っている少女。その違和感を気にする風もなく、気ままに、たおやかに、虚空を見つめる。 根拠のない心地よさ。それは10代後半の、子供と大人...

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film12 一緒に見た知人が、「最後に登場人物が生きるか、死ぬか」という点を挙げて感想を語っていたことがずっとひっかかっていた。その感想は、自分にとっては何かが違う。少なくとも、あのエンディングにはもっと異なる感動があったはず...

フランス映画史上の最高傑作『天井桟敷の人々』

フランス映画史上の最高傑作『天井桟敷の人々』

中条先生の『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)がとても面白かった。とりわけ目をひいたのが、『天井桟敷の人々』の制作過程についてである。 1943年に制作が始まった今作。それはまさしく、第二次世界大戦でナチスドイツに支配されていた時代。自由な映画づくりができない中、映画人たちはそれでも意欲的な作品を求めて力を集結。パリ...

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