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コメディ

「一個の人間」の魅力『ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲』

「一個の人間」の魅力『ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film02

近所から「多国籍家族」と揶揄さている主人公一家。主な登場人物は、フランス人夫妻。その長女とアラブ人の夫。次女とユダヤ人の夫。三女と中国人の夫。確かにそこには、多様な民族が混在している。

「俺は差別主義者ではない」と言いつつも、偏見、不満、いらだちばかりをつい口にしてしまう父。「みんな仲良く」と言いつつも、末っ子こそは生粋のフランス人と結婚してほしいと願ってしまう母。その末っ子がコートジボワール人の彼氏を婚約者として連れてきてしまったことで、一家の生活はますます混乱していくのであった…。

それにしても、色々な問題が続々と噴出する。義父子のぎこちないコミュニケーション。心労がたたった母のうつ病。末っ子の結婚式をめぐって繰り広げられるフランスvsコートジボワールの頑固親父対決。娘やその夫たちも、なんやかんやと騒ぎ出す。

今作のことを、「現代フランス社会の縮図」と評することもできなくはない。さらに言えば、各民族のそれぞれがステレオタイプと少し異なった境遇に身をおいている様に向かって(ユダヤ人が商売下手など)、「それがリアルな現在だ」と鋭い見識を差し挟むこともできる。

しかしながら、少し乱暴な言い方になってしまうが、私は人間なんて千差万別。差異をいちいち「民俗的」と括るのではなく、すべては「一個の人間」の魅力、そう捉えてしまった方が良いのではないだろうか、それが今作にとっても良いことなのではないだろうか、と思っている。

もちろん、文化は文化として尊ぶ。そのうえで、いかにして異なる者同士がつながりあっていくのか。その様を、移民問題としてではなく、家族の絆として描き出す。自然と笑ってしまうような朗らかさで描き出す。そこが今作の魅力なのではないだろうか。

『ヴェルヌイユ家の結婚狂想曲』

監督:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ
製作:2013年
製作国:フランス
上映時間:97分

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大久保 渉
大久保 渉
ライター・編集者・映画宣伝。フリーで色々。執筆・編集「映画芸術」「ことばの映画館」「neoneo」「FILMAGA」ほか。東京ろう映画祭スタッフほか。邦画とインド映画を応援中。でも米も仏も何でも好き。BLANKEY JET CITYの『水色』が好き。桃と味噌汁が好き。
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