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サスペンス

クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

どうして彼女のまわりにいるのはクズ男ばかりなのか。 性欲を満たすことしか考えていない不倫男、レイプ魔、金目当てのヒモ男…。クズとまではいかないが、定職につかずフワフワと生きる息子や売れない小説家の元夫などちょっと頼りない男たちに囲まれている。 どんな男性でも少なからずどうしようもない一面を持っていて、この映画ではそんな...

戦争映画のミニマリズム『ダンケルク』

戦争映画のミニマリズム『ダンケルク』

鑑賞後にまず思い浮かんだのは、これは戦争映画を限りなく娯楽的に描こうという、ノーラン流の実験なのかなということ。 それが証拠に血が出ない。不自然なくらいに。これは凄惨な流血・人体欠損表現によって戦争の残虐性を強調した『プライベート・ライアン』や『野火』(まあ、後者はゾンビ映画に近いが)とは対極のアプローチである。すなわ...

その顔は沈黙していない『沈黙 -サイレンス-』

その顔は沈黙していない『沈黙 -サイレンス-』

表題は『沈黙』だが、顔は雄弁だ。 例えばアダム・ドライヴァー。その黙っていても強烈に主張してくる顔は、今や文芸座で「顔圧ナイト」なる完徹イベントも開かれるほど認知されている顔圧演技法の第一人者、ニコラス・ケイジを凌ぐと言っていい。『スターウォーズ フォースの覚醒』の細かいストーリーは忘れても、森の中で脇腹を叩きながら蜜...

人に話したくなるイタリア映画祭2017『ジュリアの世界』『夜よ、こんにちは』

人に話したくなるイタリア映画祭2017『ジュリアの世界』『夜よ、こんにちは』

イタリア映画祭2017、気軽な気持ちで行ったにもかかわらず、感情を揺さぶられ涙腺ゆるゆるでした。選んだ作品が琴線に触れたのか、5月という季節が感情的にさせたのかわからないけれど。 『ジュリアの世界』 「エホバの証人」信者一家の長女ジュリアが信仰や家族との関わり、恋愛を通して人生に向き合っていく物語。 自由があるからこそ...

免罪符『ゴールド 金塊の行方』

免罪符『ゴールド 金塊の行方』

Photo by Lewis Jacobs ドラマや映画には「BASED ON TRUE STORY」いうのがある。いわゆる実録モノに相当する。自伝ものに多く『 ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)、『マイ・レフトフット』(1989)はフィクションの部分がないわけではないが少な目だ。一方これより少しゆるいのに 「IN...

実在の中の不在『パーソナル・ショッパー』

実在の中の不在『パーソナル・ショッパー』

(C) 2016 CG Cinema, Vortex Sutra, Sirena Film, Deltafilm, Arte France Cinema アサイヤスの作品は初めて見たのだが、面白かった。サイコスリラーというジャンル映画でもありながら、モウリーン(クリステン・スチュワート)というひとりの人間としての存在を...

悪魔か?救世主か?『哭声』

悪魔か?救世主か?『哭声』

(C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION 「信じる」ことは力強く、盲目的だ。 ある人にとっては悪魔のようでも信じる者にとっては救世主のように見える。 何が善で何が悪なのか、何が真実で何が嘘なのか、本当に知ることができるのか? 人間は自分の目で見たもの耳で聞いたものしか...

避けても嵌る魔境『お嬢さん』

避けても嵌る魔境『お嬢さん』

(C)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED 正直、安っぽいポルノまがいの悪趣味映画だろうという先入観があった。 加えてパク・チャヌク監督作品である。快/不快で言ったらまちがいなく不快ゾーンに属する映画体験を今までに蒙っ...

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

(C)2014 Capital Intelectual S.A. – MATANZA CINE – EL DESEO 1982年のフォークランド紛争(マルビーナス戦争)を機に軍政権が倒れ民主化へ傾くアルゼンチン。この激動の中で秘密警察の職を失ったプッチオ家の家長アルキメデスは「誘拐ビジネス」に手...

言わぬが花とは『エヴォリューション』

言わぬが花とは『エヴォリューション』

(c) Les Films du Worso, Noodles Production 足りないんだ、言葉がああああっ。 と、叫びたくなることは結構ある。特に仕事をめぐっての舌足らずは致命的で、例えばあるお客様から「あ、その辺はとら猫さんの団扇…じゃなかった、センスにお任せしますんで、ほんともう、好きなようなやっていただ...

ジャンルは「ホラー」『淵に立つ』 

ジャンルは「ホラー」『淵に立つ』 

(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMA 映画の鑑賞後感はエンディングが明快であったり、明るく終わるとそれまで暗い内容でも良い気分になれたりする。逆に心がざわついたり、えーっ!?というような終わり方だと何か心に引っかかって素直に良かったと言えない場合がある。しかし作品に力があれば、むし...

笑って流せる水などない『ザ・ギフト』

笑って流せる水などない『ザ・ギフト』

(C)Blumhouse Productions/Blue-Tongue Films 笑って水に流そうや。 なんて言うが、現実世界において自らの過怠や失態をゲラゲラ笑って水に流してもらえることなど、まずない。いや、ないことはないが、表面上は「いやいや、とら猫さん。人間だれしも過ちを犯すもんです。言うでしょう、罪を憎んで...

救われるとは何なのか『無垢の祈り』

救われるとは何なのか『無垢の祈り』

© YUMEAKI  HIRAYAMA  /  TORU  KAMEI ひたすら辛い。痛い。苦しい。 それが『無垢の祈り』を観て、最初に湧き上がってきた感情だ。そしてそうした感情が一巡りし、脳内がリセットされた瞬間に突き刺さってきたのは「罪悪感」だった。 なぜなら、本作で描かれているフィクションは、今この瞬間にも、日本...

地獄は続くけれど…『淵に立つ』

地獄は続くけれど…『淵に立つ』

(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS 観終わった後にわき起こるやるせなさをどこにどう向けたらいいのかわからず途方に暮れてしまった。「やるせなさ」という表現が適切かどうかも自信がない。しかし愉快な感情が起きないことだけは間違いない。 慎ましやかに暮らす家族が得体の知れない男の闖入を...

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

Photo by Sabrina Lantos (c)2015 GRAVIER PRODUCTIONS, INC. 人生に絶望した哲学教授。 色男ホアキン・フェニックスがお腹ぽっこり(役作りだろうか?だとしたら大したものだ)で演じており、「もうボク体型なんてどうでもいーんだよねー」感がよく出ている。実際教授は大学構内で...

破壊の不快、なぜか爽快。『ノック・ノック』

破壊の不快、なぜか爽快。『ノック・ノック』

(C)2014 Camp Grey Productions LLC 僕はホラーは大好きだが、過度なスプラッターは苦手である。 そういうわけで今までイーライ・ロスを避けてきたわけだが、断片的に得た事前情報を検分するに血の量は控え目っぽいなと当たりをつけて『ノック・ノック』を観に出かけた次第である。 結果、血はほとんど流れ...

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