イタリア映画祭2017、気軽な気持ちで行ったにもかかわらず、感情を揺さぶられ涙腺ゆるゆるでした。選んだ作品が琴線に触れたのか、5月という季節が感情的にさせたのかわからないけれど。
『ジュリアの世界』
「エホバの証人」信者一家の長女ジュリアが信仰や家族との関わり、恋愛を通して人生に向き合っていく物語。
自由があるからこそ、人は自分の意志で進む道を選ぶことができる。意志があるからこそ、自分が選んだ道の先にある未来を信じることができる。
守るべき戒律から外れ転落してくように見えるジュリア。しかし、飛び込んだ自由な世界で主体的に自分の進む道を選んでいく。宗教の枠から外れてしまったとしても、意志を持って自分の人生を進んで行くジュリアの姿に力強さと健全さを感じた。
『夜よ、こんにちは』
2003年とちょっと古い映画。実際にイタリアで起こった、極左武装集団「赤い旅団」による「アルド・モロ誘拐事件」を映画化。
政治的なテーマを扱っているので、最初はちょっと重苦しく堅い作品だろうなという印象だった。実際観てみると、想像以上にエモーショナル。所々に主人公の女性の夢というか空想のイメージが差し込まれる演出に感情を刺激される。
極左組織とファシスト、互いのイデオロギーには距離がありそうなのに、暴力の主体としての両者は、限りなく近くにあるように見える。映画を通して暴力に対する強い拒否を感じた。
ラストシーンは叶わなかった夢であり切ないけど、すごくカッコよくおしゃれ。
イタリア映画祭の開催期間はだいたい5月ゴールデンウィークの頃。なぜ2ヶ月以上経ってからレビューを書いているのかというと…、誰かに話したいから。
誰かに話したくても、映画祭の期間にしか公開されず観た人がまわりにいないので、なかなか伝わらない映画祭の作品…。話したい欲求を昇華させるためにも、こちらに一言残させて欲しい。
『ジュリアの世界』
監督:マルコ・ダニエリ
出演:サラ・セラヨッコ、ミケーレ・リオンディーノ
製作年:2016年
製作国:イタリア・フランス合作
上映時間:104分
『夜よ、こんにちは』Buongiorno, Notte
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:マヤ・サンサ、ルイジ・ロ・カーショ、ロベルト・ヘルリッカ
製作年:2003年
製作国:イタリア
上映時間:105分
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