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仙台に未来の映画館を創る『館長日記』と『シネマレビュー』

ラブストーリー

愛のそよ風を恥ずかしがらずに感じよう『愛のそよ風』

クリント・イーストウッド3本目の監督作。
初めて監督に専念した作品でもあります。

イーストウッドというと「男らしい」とか「社会的メッセージ」とかを連想される方もあるかもしれませんが、本作は恋愛を真正面から描いた、フィルモグラフィーの中では異色作ではありつつ、イーストウッドの繊細な演出が存分に楽しめる良作です。

裕福な中年紳士フランクと、ヒッピー(!)の若い女性ブリージーとの恋物語です。
中年といっても、フランクを演じるウィリアム・ホールデンはこの映画の公開時は55歳くらいで、映画上の見た目も初老に近い。
一方ブリージーを演じるケイ・レンツはこの時20歳くらい。映画上の見た目は未成年です。少女といっていい。
実際ブリージーに服を買ってあげるシーンでは、店員に「お嬢さんですか?」と訊かれたりします。

ブリージーから捧げられた愛を内心「ありえない」と戸惑いつつ、また仲間から向けられる奇異な視線に耐えきれなくなったりもしつつ、徐々に受け入れていく中年紳士の微妙な心情を、ウィリアム・ホールデンが表情ひとつで絶妙に演じており、それを追っていくだけで胸が詰まるような思いに駆られるのは僕が中年だからではなく、映画の魔法に感動するからです。

フランクが現実に戻って説教臭いことを言い出すと、ブリージーに「黒い雲が頭にかかっている」と返されます。
そんな洒落た言い回しで諭されたら聞き入れちゃうよね。

犬も重要な役回りを演じています。
犬を通じてふたりの心情や関係性が微妙に揺らぎます。犬の演出に至っても完璧!
イーストウッドの3作目にして熟達の域に達している演出を存分に、そして何度でも観て楽しんでください。
ちなみに犬の名前は「Love a lot」。犬の名前のつけかたまで手を抜いていませんよね。

『愛のそよ風』
監督:クリント・イーストウッド
出演:ウィリアム・ホールデン、ケイ・レンツ
製作年:1973年
製作国:アメリカ
上映時間:108分

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館長
館長
仙台で映画館を開業して、生まれ故郷の発展に貢献したいと思っている49歳です。 49年間、経済的にも精神的にも映画に救われ続けてきたという思いがあります。 ミニシアターを作ることで、ささやかながら映画に恩返ししたいと思っています…といっても何か秘策があるわけではまるでなし。 今できることは、とにかく思いを発信し続けていくだけです!

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