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コメディ

人間についての”物語”『さよなら、人類』

人間についての”物語”『さよなら、人類』

ああ!君!私だよ。
いやぁ、久しぶりだ。奇遇だな。
これからこの映画を見るのかい?
私?私は今見たところさ。
どうだったって?うーん、そうだな、退屈だったよ。
顔色の悪い陰気な二人組が出てくるんだ。
まぁ、時々クスリと笑えるとこもあったけどね。
そうそう、バーの常連がウチのじーさんにソックリでね、あそこは腹がよじれたな!周りに変な目で見られたよ。
ありゃあ、しばらくくたばりそうもない。

大体今日は散々だった。
朝起きた時にはすでに土砂降りだったろ?
今夜の会食のために、新しいスーツを用意してたんだが、妻に着るのを反対された。
このスーツも気に入ってるが、途中で水溜りに跳ねられてね、このとおりさ。全くツイてない。

会社に着いて、コーヒーを淹れようとしたら切れてるし、上司に呼ばれて何かと思えば、締切間近の案件のやり直しさ。忙しくしてる隣で若いモンが呑気にお茶を飲んでるし、勘弁してほしいよ。

ただ、その若いのがこの映画のチケットをくれてね。今日の夜、行ってみたらいかがですかって。
もちろん断ったよ。だって今夜は無理だろう。でも彼が言ったんだ。
課長、明日の会食で話題にできるかもしれませんよって。

そう!なんと会食は明日だったんだ。完全に日にちを間違えてた。狐につままれた気分だが、おかげで会食には、新しいスーツで颯爽と行けるってわけさ。
明日は晴れの予報だしね。

妙な1日だったが、最後に君とも話せたし、人生捨てたもんじゃない。
君もそう思うだろ?

ああ、もう始まるな。楽しんでくれ。
元気そうで何よりだったよ。
じゃあ、また。

『さよなら、人類』

監督:ロイ・アンダーソン
出演:ホルガー・アンダーソン、ニルス・ウェストブロム
製作国:スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ合作
製作年:2014年
上映時間:100分

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昭和モダ子
昭和モダ子
基本スタイルは、映画鑑賞=人間観察。人間の機微を描く映画が好きです。漫画、小説、音楽のことなんかも、映画とミックスしてお届けできたらと思っております。邦画とドキュメンタリーが頻繁に登場しますが、どうぞお付き合いくださいませね。
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