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救われるとは何なのか『無垢の祈り』

救われるとは何なのか『無垢の祈り』

© YUMEAKI  HIRAYAMA  /  TORU  KAMEI ひたすら辛い。痛い。苦しい。 それが『無垢の祈り』を観て、最初に湧き上がってきた感情だ。そしてそうした感情が一巡りし、脳内がリセットされた瞬間に突き刺さってきたのは「罪悪感」だった。 なぜなら、本作で描かれているフィクションは、今この瞬間にも、日本...

プロフェッショナルと揺らぎ『ハドソン川の奇跡』

プロフェッショナルと揺らぎ『ハドソン川の奇跡』

(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved 邦題は『ハドソン川の奇跡』だが、原題は「サリー」。本作の主人公であるサレンバーガー機長の愛称である。 その原題は、本作が大掛かりなパニック映画でなく一人の男の葛藤の物語であることを端的に表している、と僕には感じられた。 僕は映画鑑賞に先立...

ちょっと泣きそうでした(感動で)『高慢と偏見とゾンビ』

ちょっと泣きそうでした(感動で)『高慢と偏見とゾンビ』

(C)2016 PPZ Holdings, LLC いやもう絶対観ないタイプの映画と思ってた。タイトルに”ゾンビ”ってついてる時点で怖いでしょ。ゾンビ映画大嫌いだから。確かに、”高慢と偏見”は気になる。小説は未読だけど有名だからきっと面白いと思う。でもやっぱりゾンビ怖いし、B級っぽいからわざわざ映画館で観ることもないで...

地獄は続くけれど…『淵に立つ』

地獄は続くけれど…『淵に立つ』

(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS 観終わった後にわき起こるやるせなさをどこにどう向けたらいいのかわからず途方に暮れてしまった。「やるせなさ」という表現が適切かどうかも自信がない。しかし愉快な感情が起きないことだけは間違いない。 慎ましやかに暮らす家族が得体の知れない男の闖入を...

普遍であることの意味『カプール家の家族写真』

普遍であることの意味『カプール家の家族写真』

(c) Dharma Productions, Fox Star Studios なぜ赤の他人同士が共感できるのかと言えば。 それは規模の大小こそあれ、多くの場合、誰しも似たような経験や境遇に晒されたことがあるからだ。そして人類の大半が共通して保有しているものとは何か。 家族である。 孤児として生まれ育ったわけでもない...

東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会 函館三部作の大トリということで舞台はもちろん函館。 僕のイメージする函館という地を感じさせる記号は坂やカモメに表れてはいたものの、主たる舞台は職業訓練校・キャバクラ・安アパート・動物園など、およそ映画的に豊かなイメージを喚起するとは思えない場で、しかし映画としたいいようが...

ぬめってナンボの『X-コンタクト』

ぬめってナンボの『X-コンタクト』

(c) カルチュア・パブリッシャーズ CGに足りないものは何ぞや。 これを数え出したら十指に余るが、ことホラーという文脈では何を措いても「ぬめり感」ではないかなと私なんかは愚考する。 例えばかの名作『エイリアン』の主役たるビッグチャップの、ぬらっと黒光りする頭部。カーペンターの『遊星からの物体X』に登場するクリーチャー...

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