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といいつつ往生際悪く12本選んでしまいました。
旧作が2本混じっていますが、いずれも日本初公開なので新作みたいなもんでしょう。お許しを。
ではいってみよう!
第1位
『グリーン・ナイト』
(デウ゛ィッド・ロウリー) 2021年:アメリカ・カナダ・アイルランド
冒頭の家鴨とか馬とかがただ立っているだけで既に何かが起こっているかのよう。中世の街・城の中の空間造形に狂喜。主人公が恋人を馬に担ぎ上げるカット繋ぎが俯瞰という画は初めて見る絵面だなと興奮したりしたが、街を出てから続く彼の試練の旅はまるで悪夢。驚嘆すべき画の連打で狂いそうになった。
第2位
『ケイコ 目を澄ませて』
(三宅唱)2022年:日本
映画館で「終わらないでくれ、この時間がずっと続いてくれ」と祈りながらスクリーンに相対したのはいつ以来のことだろうか。ストーリーは追っていなかった。アクションに没入していたのだろうが、冷静に観ていなかったのでよくわからない。
第3位
『みんなのバカンス』
(ギョーム・ブラック)2020年:フランス
自然なとしか言いようのない演技。さりげなく撮っているようでリハーサルとかにめちゃくちゃ時間をかけたのだろうか?調べてないけどそんな気がする。バカンスに降り注ぐ陽光、先が見えないストーリー。ゆったりと心安らぐのにスリリング。贅沢な時間が詰まった映画。
第4位
『たぶん悪魔が』
(ロベール・ブレッソン)1977年(2022年日本初公開):フランス
動きの少ない映画だが、所々で妙に高揚する箇所があった。別に高揚を促す演出があるわけではないし、あまりにも救いのない内容だし、なぜ高揚したのか不明。2回観たのだが不明。
第5位
『LOVE LIFE』
(深田晃司)2022年:日本
力のあるショットばかりでできた溜息しか出ない映画。日常とか生活とか、そういったものにくるまれた人間そのものの醜悪さみたいなものがビンビンに感じられて、気持ち悪いけど目が離せないという感じ。辛いんだか至福なんだがよくわからない時間を過ごした。
第6位
『秘密の森の、その向こう』
(セリーヌ・シアマ)2021年:フランス
静寂に支配された映画。淡々と進むと見せかけて唐突に場面が飛ぶトリッキーな編集で、時空を超えて交流する母と娘という、静かなのにSFという超絶難しい設定を成立させている。亡くなる前に祖母に言えなかった「さよなら」を時空を超えて伝えるなんて、何て素敵な構成でしょう。
第7位
『ベルイマン島にて』
(ミア・ハンセン=ラヴ)2021年:フランス・ベルギー・ドイツ・スウェーデン
まったり進むこの物語ならぬ物語がなぜこんなにおもしろいのだろうか?頻繁に行われるカメラの横移動は贅沢な空間を現出させていた。陽光と風にそよぐ木々の葉音が気持ちいい。
第8位
『WANDA/ワンダ』
(バーバラ・ローデン)1970年(2022年日本初公開):アメリカ
主人公ワンダの一貫したやる気のなさに感化された。特に、犯罪の段取りを指示され「I can’t!」と繰り返すくだりには胸を締め付けられた。守備良く犯罪の片棒を担げたかと思ったら、直後に免許不所持で足止めをくらい、相棒はあえなく射殺。ラストのざわめく酒場でうなだれるワンダの表情のストップモーションで際立つ、能力がない弱い個体がズルズル生き残っている悲しさ。
第9位
『愛なのに』
(城定秀夫)2021年:日本
映画館で声を上げて笑うという体験を久々にした。本作に限ったことではないが、中島歩の安定ぶりはすさまじい。河合優実は今年の邦画でよく見かけたが、うまく扱えてないケースが多く、わたしの観た範囲では本作での扱いが一番よかった。
第10位
『さがす』
(片山慎三)2021年:日本
画面にとんでもない力が漲っている。手持ちカメラが嫌にならない稀有な事例。怪優だらけ。これらアクの強い俳優陣を束ねられる監督の胆力はタダものではないのだろう。
第11位
『ナイトメア・アリー』
(ギレルモ・デル・トロ)2021年:アメリカ
前半と後半でガラっと変わる背景の妥協なき美術。ラストのブラッドリー・クーパーの泣き笑いの演技(何度も撮り直したそうです)に、観ているわたしも泣き震えました。
第12位
『こちらあみ子』
(森井勇佑)2022年:日本
整音が行き届いていて、自然と画面外の音に耳を傾ける態勢になる。遠くで暴走族の音が聞こえるというなんでもないシーンが妙に記憶に残っていて、後ほど兄が暴走族に入るシーンがあっておお!となったり。随所に挟まれる昆虫や蛙等の小動物のクローズアップはあみ子の生きようとする意志の反映だろうか?描いている内容はキツいが目を背けさせない画の力。
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