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ラブストーリー

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film12

一緒に見た知人が、「最後に登場人物が生きるか、死ぬか」という点を挙げて感想を語っていたことがずっとひっかかっていた。その感想は、自分にとっては何かが違う。少なくとも、あのエンディングにはもっと異なる感動があったはず。まあ、人それぞれ感じるポイントは違うし、自分ばかりが変に酔ってしまっているだけのことなんだけれども。

個人的には、今作のエンディングは観た後に芳醇な、めまぐるしいまでの回顧が頭の中をかけめぐる、そんな素晴らしいショットだったと思っている。『たそがれの女心』全体を象徴する、まさにそのもの。2時間にも満たない物語なのだけれども、計り知れない人生という名の営みすべてへと想いを馳せてしまう。映画の表現力ってすごい、と身体の力が抜けるほどに感嘆してしまう。そんなうっとりと酔いしれてしまうラストショット。堪え切れない感情の高ぶりを抱えたまま、帰路についたことを覚えている。

映画は「運命に翻弄される愛」を描き出す。将軍とその妻、そして一人の外交官の間で巻き起こる、愛憎の三角関係。言うなれば、筋書きという名のレールの上を歩かせられる登場人物たち。それでも、印象として、決して狭苦しい世界のようには見えなかった。

滑らかなカメラの動き。短くリズミカルな台詞まわし。ロマンチックなオーケストラの調べ。主演はもちろん、端役の一人ひとり、舞台美術の一つひとつ、そのすべてが丁寧に、のびやかに写しだされている。とりわけ、小道具、美術品、衣装、セット、幾重にも渡って繰り返される舞踏会シーンでの絢爛さが、夢とも現実ともつかない物語に輝きと広がりをもたらしてくれているのである。

どのシーンをとっても美しく、愛おしく、上品でいて優雅。溢れんばかりの余韻が味わえる、魅惑の映画であった。

『たそがれの女心』

監督:マックス・オフュルス
出演:ダニエル・ダリュー
製作:1953年
製作国:フランス/イタリア
上映時間:100分

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大久保 渉
大久保 渉
ライター・編集者・映画宣伝。フリーで色々。執筆・編集「映画芸術」「ことばの映画館」「neoneo」「FILMAGA」ほか。東京ろう映画祭スタッフほか。邦画とインド映画を応援中。でも米も仏も何でも好き。BLANKEY JET CITYの『水色』が好き。桃と味噌汁が好き。
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