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「館長」の選ぶ、2018年上半期ベスト10

「館長」の選ぶ、2018年上半期ベスト10

(c)Merie Wallace, courtesy of A24 選考基準 2018年も7月に入り、半分が過ぎ去りました。 ここで恒例の、上半期を振り返ったベスト企画をお届けします。 何本選出するか、新作か旧作か、劇場で観たかそうでないか等の選出基準はすべて各レビュアーにお任せ。 そういうわけで巷の上半期ベスト10的…
わかりあえぬ男と女、それでも奇跡的に美しい女の佇まい。『それから』

わかりあえぬ男と女、それでも奇跡的に美しい女の佇まい。『それから』

(C)2017 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved. 著名な評論家であり小さな出版社で社長を務める男が、妻から浮気を問い詰められるというオープニング。社長は1人しかいない女性社員と確かに不倫関係にあった。が、その関係は終わったはずだった。逃げるように自身が経営する出版社へ出勤す…
おめでとう!『万引き家族』

おめでとう!『万引き家族』

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.  かつてドラマ「北の国から 2002遺言」(脚本:倉本聰)で黒板五郎(演:田中邦衛)が廃材や不要とされたゴミとされた物を集めて「拾ってきた家」を作りましたが、この家族はまさに「拾ってきた家族」。利用価値がないと見離された資材の様に、ないがしろにされ社会の見えない…
疑似家族をめぐって『万引き家族』

疑似家族をめぐって『万引き家族』

(C)2018『万引き家族』製作委員会 父と息子(でないことは後々明らかになるのだが)がスーパーで買い物をしている。何の変哲もない日常を切り取ったような場面が実は万引きをしているところだと知らされ、この物語は始まる。 邦洋を問わず、疑似家族を描いた映画が目白押しだ。本作を観た同じ日に『デッドプール2』を観たが、これも疑…
あゝ、無常。『ラブレス』

あゝ、無常。『ラブレス』

(c)2017 NON-STOP PRODUCTIONS – WHY NOT PRODUCTIONS 冠雪した無人の森。曲がりくねった川。静かで動くものが何もない風景の中で唯一水鳥がスーっと川を横切っていく。 冒頭の風景描写で、一気に映画の世界に持っていかれた。そしてこのどんよりと曇って寒そうな風景に、根拠…
あゝ、無常。『ナイルの娘』

あゝ、無常。『ナイルの娘』

主人公の少女はケンタッキーフライドチキンでバイトをしている。店内では中森明菜の「DESIRE」が流れ、少年たちは肩パッドがっつりのダブルのスーツを身にまとい、通信手段はゴツイ携帯電話やポケベル。80’sの雰囲気満載で、同じ頃の日本のバブルな空気が、本作の舞台である台湾にも色濃く充満している。 そんな80’sな空気感と、…
フラフラ歩きまわる様を楽しみましょう『さよなら、僕のマンハッタン』

フラフラ歩きまわる様を楽しみましょう『さよなら、僕のマンハッタン』

マーク・ウェブの出世作『(500)日のサマー』は、本作鑑賞後に観た。どちらも大好きな作品で、特に主人公の、朧気ながらやりたいことは見えているのにそこに一直線に進まない感じの描き方が好きだ。そういう、あっちにフラフラこっちにフラフラな人間に付き合う楽しさが、わたしにとってのマーク・ウェブ作品の醍醐味だ。 マンハッタンのダ…
た~まキュン!『素敵なダイナマイトスキャンダル』

た~まキュン!『素敵なダイナマイトスキャンダル』

(C)2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会 末井昭が発行したエロ雑誌は、そのエロからはみ出たありようが当時のサブカルの隆盛を物語る器としてよく引き合いに出される。そういう記事をちょいちょい目にしていたわたしは、末井昭という伝説的エロ雑誌編集長がいることを知ってはいた。が、鮮明に記憶しているのは、パチンコ…
さようなら、ハリー・ディーン・スタントン。『ラッキー』

さようなら、ハリー・ディーン・スタントン。『ラッキー』

(c)2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved 鏡の前に立ち、歯を磨くラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)の乳首が垂れ下がった骨と皮だけのボディのクローズアップという、ある意味衝撃的なオープニングで本作は始まる。これからいったい何を観させられるのだろうとドキドキするが、ラッ…
暴力に抗う少女の決意『花咲くころ』

暴力に抗う少女の決意『花咲くころ』

(c)Indiz Film UG, Polare Film LLC, Arizona Productions 2013 1992年の春、ジョージア(旧グルジア)。 当時、ジョージアはソ連から独立を果たしたものの内戦状態で、市民は耐乏生活を強いられていた。パンは配給の長い列に並ばないと得ることはできず、電気とガスの供給は…
「上がり」は見えないが、それがどうした。『苦い銭』

「上がり」は見えないが、それがどうした。『苦い銭』

(c)2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions 『苦い銭』は、子供服の中国最大の産地として知られる浙江省湖州市の縫製工場を主な舞台に描かれるドキュメンタリーである。 15歳の少女小敏(シャオミン)が、雲南省(中国で最も貧しい地域のひ…
プロフェッショナルからもたらされる希望『否定と肯定』

プロフェッショナルからもたらされる希望『否定と肯定』

(C) DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016 法廷モノの面白さはどこにあるんだろうと考えていた。舞台となる空間が法廷とそれ以外の2つがくっきりと分かれている。そのため登場人物たちの性格を多方面から見ることができるので、人物造形の密度が高く、…
『皆殺しの天使』クリティカル・ライティングバーション

『皆殺しの天使』クリティカル・ライティングバーション

(c)1991 Video Mercury Film 本作は、先日まで参加していたイメージフォーラム主催のクリティカル・ライティング講座の課題作でもありました。 本作のレビューは既に上げていますが、講座用に書いた下記の原稿もアップします。 単なる自分の読み比べ用ですが、お暇でしたら両方読んでいただけたら嬉しいです。 □…
五体投地を育む日常『ラサへの歩き方 ~祈りの2400km』

五体投地を育む日常『ラサへの歩き方 ~祈りの2400km』

チベット自治区、マルカム県プラ村での村人たちの暮らしぶりが繊細に映しとられる。 薪を燃やす炎のやわらかな光。ヤクの改良種「ゾ」を解体する道具を洗う時に沸き立つ湯気。大麦を炒って粉末状にした「ツァンパ」を器用に手でこねながら和やかに団欒する人々。道端にみっしりと積まれた薪の山… 東京で目にしている日常とまったくかけ離れた…
「Kana」が選ぶ、2017年映画ベスト10

「Kana」が選ぶ、2017年映画ベスト10

遅くなりましたが、半期ごとの恒例になってきたベスト企画。こうやって定期的に観た映画を振り返ってあれやこれや考えるのも楽しいものです。 それでは、さっそく「Kana」の2017年ベスト10をご紹介します。今回は劇場で鑑賞した作品5つと映画祭で鑑賞した作品5つといった形で選んでみました。 劇場で鑑賞した作品ベスト5 第5位…
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