Toggle

Page : 2

むちゃくちゃな世界『メビウス』

むちゃくちゃな世界『メビウス』

(C)2013 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved. 母が父の浮気に対する嫉妬に狂って息子のペニスをちょん切ってしまいました、というお話。 ペニスが切られるという感覚に直接に訴えてくる激痛感が強烈だ。 が、それ以上に、自分のコアな部分が永遠に葬り去られてしまったのような精神的なダメ…
人はいつか大人になるのだ『光陰的故事』

人はいつか大人になるのだ『光陰的故事』

(C)CENTRAL PICTURES CORPORATION 台湾の1960~80年代を背景に、小学生→中学生→大学生→若い社会人夫婦と変遷してゆく4つの物語を描いたオムニバス。 第1話は、なぜか周囲の大人とも子供ともウマが合わず孤独感を醸し出している小学生の男の子の話で、胸がキュッと締めつけられるようなビターな一遍…
「館長」が選ぶ2017年上半期ベスト5

「館長」が選ぶ2017年上半期ベスト5

7月1日に『シーモアさんと、大人のための人生入門』の上映会も無事終わり(いや、アクシデントありでしたが)、上映会前の約2週間準備に追われて映画を観に行けなかった欝憤を晴らすべく、7月に入ってから観まくっている館長です。 2017年も半分が過ぎ去りましたので、恒例の上半期ベスト5の特集をやらせていただきます。 選考対象は…
本質へ。『シーモアさんと、大人のための人生入門』

本質へ。『シーモアさんと、大人のための人生入門』

(C)2015 Risk Love LLC 自宅でひとりピアノを弾いているシーモア。 ああでもないこうでもないとひとりごちながら、正しい演奏に近づくべくひとつひとつ問題をクリアしていく。 この冒頭シークエンスからたちまち「求道」の凄みが伝わってくる。 パンフレットに書いてあるが映画では描かれていないエピソード。 シーモ…
不意打ちに見るかすかな希望『彼女の名はサビーヌ』

不意打ちに見るかすかな希望『彼女の名はサビーヌ』

若かりし頃の美しく快活なサビーヌと、別人のように太って目も虚ろな現在のサビーヌが交互に描かれる。それはもう徹底的に残酷なほどに「対比」されている。 精神病院に拘束され、強力な薬を飲まされたことで身体の様々な機能が損なわれた結果が今のサビーヌの姿なのだが、現在彼女が暮らしているのはひとまずは丁寧なケアが施されていると思わ…
免罪符『ゴールド 金塊の行方』

免罪符『ゴールド 金塊の行方』

Photo by Lewis Jacobs ドラマや映画には「BASED ON TRUE STORY」いうのがある。いわゆる実録モノに相当する。自伝ものに多く『 ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)、『マイ・レフトフット』(1989)はフィクションの部分がないわけではないが少な目だ。一方これより少しゆるいのに 「IN…
最悪の選択が最良の選択になるということ『光をくれた人』

最悪の選択が最良の選択になるということ『光をくれた人』

(C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC 子供の授からない夫婦がたまたま流れ着いてきた赤ちゃんを自分の子として育てるという「過ち」を犯すことから、胸の引き裂かれるような悲劇に発展していく本作。 そのまま黙って秘密を墓場まで持っていくという選択肢もあったかと思う。僕もそれでいいん…
ひと夏の輝き『20センチュリー・ウーマン』

ひと夏の輝き『20センチュリー・ウーマン』

(C)2016 MODERN PEOPLE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 1979年、夏。 冒頭の海岸の俯瞰ショットが美しいサンタバーバラ。 のんびりと風が流れるカリフォルニアの地方都市にも、当時隆盛を誇ったパンクの轟音が響き渡っている。 1924年生まれのドロシアは、設計士として自立しているシ…
生きる歓び『パティーとの二十一夜』

生きる歓び『パティーとの二十一夜』

(C) 2015 Arena Films, Pyramide Productions, Canal+ “映画”の範囲内であれば割とどんなものでも好きなので、ジャンルが偏ってしまわないように気をつけて見ている。とはいっても好き嫌いははっきり分かれる。自分が好きになれる映画を見ることのできた帰り道は、足取りは明らかに違う。…
街が泣いてた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

街が泣いてた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved. 男は酒場で『酒と泪と男と女』のように振舞っていても、切ないくらいに真面目で不器用、身内と思う人には何を言われてもキレないのに、赤の他人には些細なことでキレる。心を苛んでいるのは罪の意識だが意外にも自覚はない。根無し…
実在の中の不在『パーソナル・ショッパー』

実在の中の不在『パーソナル・ショッパー』

(C) 2016 CG Cinema, Vortex Sutra, Sirena Film, Deltafilm, Arte France Cinema アサイヤスの作品は初めて見たのだが、面白かった。サイコスリラーというジャンル映画でもありながら、モウリーン(クリステン・スチュワート)というひとりの人間としての存在を…
拒絶と選択『害虫』

拒絶と選択『害虫』

公開から15年経った作品だが、あるキッカケで観直すことになり、鑑賞後のやり切れない気持ちに収まりがつけられずに困惑した。15年前はどう対処したのだろう?まったく憶えていない。 主人公サチ子は、小学6年生で担任の教師との恋愛を経験する。 やがて教師は秋田の原発で働くことになり、父は自殺し母は自殺未遂… 「悪い虫」がぶんぶ…
惑う人、生ける都市。『台北ストーリー』

惑う人、生ける都市。『台北ストーリー』

(C)3H productions ltd. All Rights Reserved 主人公アリョン(演ずるはなんと、ホウ・シャオシェン!)は過去に捉われている。少年野球のエースだった栄光を引き摺っている。 ことあるごとに少年野球チームの練習や試合を見に足を運んだり、米国滞在中に録りためた大リーグの試合を繰り返し鑑賞し…
壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

(C)This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016 本作の主人公ベラは、自分固有の秩序を守って暮らしている。 自ら作り上げた秩序に暮らす人というと、『シンプル・シモン』の主人公シモンが思い出される。 彼がアスペルガー症候群というのがあるにせよその秩序は多分に原理主義的であり、まるで要塞のよう…
世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

海外渡航経験は僅かだが、30代前半に1週間ほどフランクフルトへ行った。当時の職場は労働組合で上部団体主催の海外交流研修だった。相手の労組に※人生で100回目のストライキの指揮を控えている男性がおり、我々日本人の間では、真面目な頑固おやじ風の彼を「ストおじさん」と呼んでいた。確か観光タイムのランチ時、私の隣りが通訳だった…
聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema 予告編や本作の紹介記事などに、「凛とした女性の強さ」「前向き」といったキーワードが多く見受けられるのだが、強く違和感を感じる。本作に接して僕はそのようなワードは一切思い浮かばなかった。 …
Return Top