近所にシネコンが4軒あるものの、どこも大作偏重型の似たり寄ったりの番編で代わり映えがせず、かといって自分の観たい映画を観るとなると魔窟・東京まで足を延ばさなければならず、それもまた億劫だなあともさもさしているうちに時は流れ、ちっとも鑑賞本数が増えていかないとら猫です。
そういうわけでそもそも劇場で観た映画数が少ないのですが、その中から上半期にぐっときた5本をチョイスしてみました。
第5位『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』
これが実話に基づくというのも、アメリカという国の奥行きおよび闇の深さを感じるが、なにしろヘレン・ミラン。持って生まれた演技力と年輪を刻んだ凄みがハイレベルで融合した、若造役者が束になっても敵わない圧倒的な存在感でもって映画のすべてをかっさらっていく。ホラーの基本をすべて押さえた、オーディエンスを漏れなく楽しませてくれる優等生ホラー。(監督:マイケル&ピーター・スピエリッグ、@イオンシネマ港北)
第4位『デトロイト』
キャスリン・ビグローは今もっとも信頼できる監督のひとり。相変わらずのクールなタッチで、観る者を史実のまさにその現場にいるような緊張感のさなかへぶち込んでみせる。女性監督と言えば、『ペットセメタリー』を撮ったメアリー・ランバートって今、何やってるんだろう。(監督:キャスリン・ビグロー、@TOHOシネマズららぽーと横浜)
第3位『RAW 少女のめざめ』
アーティスティックな美しき青春人食いドラマ。過激なストーリーよりも視覚的な巧さが目を引いた。中でもペンキまみれになってのシャワー室でのラブシーンは必見。脳裏に焼き付くシーンの多い、絵画的な一本。(監督:ジュリア・デュクルノー、@TOHOシネマズららぽーと横浜)
第2位『孤狼の血』
「わしゃ警察じゃけん、何やってもいいんじゃ」とうそぶく役所広司の驚異的迫力、リアル感。『CURE』以降、あまりに色んな映画に出るので阿部寛と同じく食傷気味だったが、本作ではさすがの演技力でもって、やはり日本を代表する名優であることを痛感させられる。さっそく続編も決まったようだし、ひょっとしてキャリア最大の当たり役なんじゃないの。(監督:白石和彌、@TOHOシネマズららぽーと横浜)
第1位『スリービルボード』
俳優がみんないい。ストーリーもいい。音楽もいい。絵もいい。上半期はぶっちぎりでこれ。フランシス・マクドーマンドのアカデミー賞でのスピーチも、映画界において唯一無二の存在であることを強烈に印象づけて素晴らしかった。まさに取り替えのきかない存在。この人の映画をもっと観たい。(監督:マーティン・マクドナー、@TOHOシネマズららぽーと横浜)
以上でした。
家ではたくさん見てるんですけどね…近所にミニシアターできないかしら。
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