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「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年ベスト10

「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年ベスト10

最近の楽しみは近所のシネコンのレイトショーで、ガラガラの客席をほぼほぼ独占しながら、ビールを飲みつつ映画を鑑賞すること。おかげですっかりビールを飲むために映画館へ行っているような、そこが居酒屋であるかのように錯覚してしまい、はて、どうしたものかと思案しているとら猫です。要するにまあ、ビール美味い。

それはさておき、嬉しいことにホラーの秀作が多かった本年度のベスト10をどうぞ~。

第10位『エイリアン:コヴェナント』
(監督:リドリー・スコット)
@イオンシネマ港北
リドリー・スコットが膨張した『エイリアン』サーガの収束を自ら図る、新三部作の第二弾。『プロメテウス』の失敗を踏まえ、今作では哲学的路線を継承しつつも、みんなが見たがっている“エイリアン”を大量投入してきた、随所にファンへの気配りが感じられるシリーズ中もっとも優しい一本。が、この出血大サービスは今回限り。次回作はアンドロイドの物語になるという噂が流れて落胆したのも束の間、続編の制作がキャンセルとの報が。おいおい、ちゃんと責任取ってくれよ、爺ちゃん。

第9位『ブレードランナー 2049』
(監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
@TOHOシネマズ・ららぽーと横浜
リドリー爺から映画ファンへの贈り物、第二弾。ハリソンよりもゴズりん。この男がすべてを救った。徹底した寡黙ぶりと無表情によって醸成される、底なしにハードボイルドな悲壮感。鬼上司の下、最後までこき使われ、騙され続けるゴズりんの愚直すぎる姿が胸をガンガン打つ。人間もつらいが、レプリもつらいよ。ゆっくりお休み、ゴズりん。

第8位『世界は今日から君のもの』
(監督:尾崎将也)
@渋谷シネパレスTOHO
門脇麦が好きなので。以上。

第7位『ジグソウ:ソウ・レガシー』
(監督:ピーター&マイケル・スピエリッグ)
@イオンシネマ港北
正直終わったと思っていたシリーズが、まさかの復活。冒頭から盛り上がる展開、巧みなツイスト、クリエイティブな殺人マシンの数々はまさに『ソウ』。ルール厳守の男ジグソウの私刑に対するこだわりは、正直、凡人の理解を超えている時もあるが、DIYでどんな殺人兵器もこしらえるし、責任をもって弟子を育てるし、意外と慕われる上司になるかもしれない。

第6位『海底47m』
(監督:ヨハネス・ロバーツ)
@イオンシネマ港北
今年一番の良い意味での期待外れはこれ。単なるサメホラーと思いきや、単調になりがちなシチュエーション下で多彩な展開が待ち受けており、飽きさせない。終盤の展開は賛否ありそうだが、ここは監督の大胆さを称えたい。もちろんサメ好きも満足かと。早くも決まった次回作のタイトルは『海底48m』。最終的に何メートルまで潜るのが楽しみだ。

第5位『新感染 ファイナルエクスプレス』
(監督:ヨン・サンホ)
@109シネマズ港北
邦題を聞いた時はナンじゃそりゃと思ったが、フタを開けてみると桐生君もびっくりのスピード感で突っ走る、濃密な人間ドラマに彩られた超強力ゾンビムービー。ゾンビがアリのごとく列車に群がる絵ヅラがすごい。あれだけでご飯100杯食えます。

第4位『哭声/コクソン
(監督:ナ・ホンジン)
@キネカ大森
韓国映画特有の異様なテンションで突っ走る、ジャンルごたまぜホラーエンターテイメント。一応キリスト教的な意味合いを仄めかせるも、どちらかというと取ってつけたような感じで、整合性?はあ?なんですか、それ?とエンタメの追求に向けて開き直ったような作風が潔く、高感度抜群。國村隼はじめ、インパクト抜群の個性的なキャラ多し。

第3位『スターウォーズ 最後のジェダイ』
(監督:ライアン・ジョンソン)
@イオンシネマ港北
スターウォーズ正史から本作を外せ、という署名活動が起きるほど批判も噴出。その気持ちはすごくよく分かる。分かるのだが、ぼくらはもうディズニーには勝てないのだ。あの金欲まみれのネズミどもが投げかける、エンタメの絨毯爆撃に耐えられる者などこの世にはいない。今は防空壕の中で必死の抵抗を試みている“古き良き”スターウォーズ愛好家たちも、やがては表へ引きずりだされ、投降を強いられるのがオチだ。これは勝てない戦なのだ。だったら無駄な抵抗はやめ、涙をぐっとのみ込んで、無慈悲な娯楽の奴隷になろうと、ぼくは思ったね。前作に比べて興収が下がったらしいが、今作で離れていくファンも多い一方、新たに獲得したファンも多いはず。そして次回作では天文学的な興収を叩き出すにちがない。それがねずみー。

第2位『ファウンド』
(監督:スコット・シャーマー)
@ヒューマントラスト渋谷
上半期ベスト5にも挙げたが、今年度もっとも衝撃的だった一本はやっぱりこれ。人間の心のダークサイトを徹底的に暴き出す、映画というメディアの邪悪なほうの力を原液で飲まされるようなトラウマ映画。正直もう一度見ようとは思わないが、それは一度見れば、本作のインパクトは永久的に脳裏に焼きついて離れることはないからだ。

第1位『ゲット・アウト』
(監督:ジョーダン・ピール)
@TOHOシネマズ・ららぽーと横浜
ホラーに限らず、おそらく近年の映画の中でも屈指の脚本。すべてのセリフに意味があり、巧妙な伏線が敷かれていて、頭の中で過去と現在のシーンを行ったり来たりしながら、点がつながって線となり、全体像が徐々に見えていくという立体的な構成が素晴らしい。各シークエンスが短編コントっぽいが、監督の本職はコメディアンと聞いて納得。恐怖と笑いは紙一重。しかもきっちりエンタメとして魅せる。鑑賞中に「あっ、そうだったのか!」という瞬間が何度も訪れるのが気持ちよい。こんな映画をもう一本撮ったら、この監督は天才確定。

次点は『ローガン』『IT/それが見えたら終わり』『女神の見えざる手』『アナベル 死霊人形の誕生』でした。劇場鑑賞作以外では『狂覗』と『バーフバリ 伝説誕生』が印象に残っております。(追記)と思ったら、年内に観る予定のなかった『バーフバリ2 王の凱旋』をベスト10アップ後、急きょ鑑賞。当然のように上位に食い込んできました、というか裏第1位です。あんな攻城兵器ありか!バーフバリ!バーフバリ!インドすげえ。

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とら猫 aka BadCats
メジャー系からマイナー系まで幅広いジャンルの映画をこよなく愛する、猫。本サイトでは特にホラー映画の地位向上を旗印に、ニンゲンとの長い共存生活の末にマスターした秘技・肉球タイピングを駆使してレビューをしたためる。商業主義の荒波に斜め後ろから立ち向かう、草の根系インディー映画レーベル“BadCats”(第一弾『私はゴースト』)主宰。twitter@badcatsmovie
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