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理解不要。予期せぬものを迎える幸せ。『皆殺しの天使』

理解不要。予期せぬものを迎える幸せ。『皆殺しの天使』

(c)1991 Video Mercury Film 晩餐会で一晩を明かした後、屋敷から出られなくなってしまう人々。 すべての登場人物から、「出る」という概念がすっぽりと抜け落ちてしまっている(屋敷の外にいる警官たちも、彼らを助けに屋敷に「入る」ことができない)。なぜかはわからない。しかし現実に人々は出れない(入れない…
kiki が選ぶ 2017 年ベスト 10

kiki が選ぶ 2017 年ベスト 10

なんだか今更になってしまったけれど、2017年のベストを選びました。 上半期は頑張って観た映画について書いたけれど、下半期はかなり滞ってしまった。その代わり映画祭へは足繁く通っていたわけだが。 劇場で鑑賞したのは139本、家で鑑賞したのも含めた総数だと156本。 実は今まであまり劇場で鑑賞していなかったので、人生で最多…
映画との再会『100人の子供たちが列車を待っている』

映画との再会『100人の子供たちが列車を待っている』

教会を捉えたクレーン撮影と音楽に、トリュフォーの『アメリカの夜』の冒頭を思い起こしてワクワク。 教会の前の土埃が舞いそうな乾燥した道や、映画に目を輝かせる子供たちを目の当たりにして、『ミツバチのささやき』の記憶も甦ってきて鼻の奥がツンときちゃったり… しょっぱなから、心の中にしまってある映画の記憶を詰め込んだ箱をつつか…
「poco」が選ぶ、2017年ベスト10

「poco」が選ぶ、2017年ベスト10

©2016CTMG あけましておめでとうございます。本年よろしくお願い申し上げます。 pocoです。 さて、昨年劇場で見た作品(257本)の中から選んだベスト10です。 邦画に数本見逃した作品があった為か、結果ほとんど洋画になってしまいました。 次点作も鑑賞順に加えました。新宿ピカデリーもよく行ってましたが、何故かラン…
「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年ベスト10

「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2017年ベスト10

最近の楽しみは近所のシネコンのレイトショーで、ガラガラの客席をほぼほぼ独占しながら、ビールを飲みつつ映画を鑑賞すること。おかげですっかりビールを飲むために映画館へ行っているような、そこが居酒屋であるかのように錯覚してしまい、はて、どうしたものかと思案しているとら猫です。要するにまあ、ビール美味い。 それはさておき、嬉し…
「館長」が選ぶ、2017年ベスト10

「館長」が選ぶ、2017年ベスト10

トランシネマWEB恒例、というか世間一般的な年末年始の恒例企画ですが、2017年ベスト10を発表したいと思います。 トランシネマレビュアーの選ぶ10本をぜひお楽しみくださいませ。 選考基準 2017年1月1日〜12月31日の間に劇場(映画祭や自主上映も含む)で観た作品から10本選びます。選定基準は各レビュアーにお任せ。…
Synchronicity(シンクロニシティ) 『ギフテッド』

Synchronicity(シンクロニシティ) 『ギフテッド』

(C)2017 Twentieth Century Fox 最近はテレビ朝日で「シルバータイム」と銘うち、昼の12時半から正味1話15分の帯ドラマを放映しています。1作目は2017年4月~9月の『やすらぎの郷』(脚本:倉本聰)でした。そして第2弾が『トットちゃん!』(脚本:大石静)(2017年10月~12月)です。あの…
異界の隙間を満たすピアノの音色と風『タレンタイム~優しい歌』

異界の隙間を満たすピアノの音色と風『タレンタイム~優しい歌』

(C)Primeworks Studios Sdn Bhd まるまる1ヵ月以上レビューを書いておらず、先月11月はついに1本も上げることができなかった。上映会の準備で忙しかったというのはただの言い訳にすぎないが、いよいよ今週末、『タレンタイム~優しい歌』の上映会を開催する。 人種の坩堝であるマレーシアを舞台に描かれる本…
一億、悪人。『アウトレイジ 最終章』

一億、悪人。『アウトレイジ 最終章』

(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会 ネットで拾った情報なんで実態はよく知らないが、フィレンツェでの修業を経て現在は靴職人として独立した花田優一氏の商品の予約は1年半待ちの人気らしい。が、本人のTV露出の激増を受けて「たった2年半の修行で職人面し過ぎ」のような批判が噴出。日本における職人の下積みの長さが重要…
偶然のもたらす幸福『ミリキタニの猫』『ミリキタニの記憶』

偶然のもたらす幸福『ミリキタニの猫』『ミリキタニの記憶』

(C)2006 lucid dreaming. Inc. All Rights Reserve. ニューヨークの路上で絵を描き続ける80歳(撮影当時)の日系人画家、ジミー・ミリキタニはカリフォルニアに生まれる。その後母の故郷広島で育つが18歳でアメリカに舞い戻る。第二次大戦中に日系人強制収容所に送られた彼はアメリカ国家…
見つめるということ『わたしたち』

見つめるということ『わたしたち』

(C)2015 CJ E&M CORPORATION and ATO Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED ソンは内気で大人しい女の子。両親は共働きだが経済的には楽ではないようだ。弟の面倒も見てあげなければいけない。 しかし彼女にとって何よりも辛いこと、それは友だちがいないこと。というか…
ファイト!!『スルターン』

ファイト!!『スルターン』

https://www.amazon.com/Sultan-Salman-Anushka-Official-Special/dp/B01JIV76JO  スポーツ観戦における楽しみというのは、例えば、ひいきのチームや選手の活躍をみることでしょう。では感動まで至るのは何か、我々は知らず知らずのうちに選手やチームの立場に自…
クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

クズ男どもを容赦なく蹴散らしてくれ…『エル ELLE』

どうして彼女のまわりにいるのはクズ男ばかりなのか。 性欲を満たすことしか考えていない不倫男、レイプ魔、金目当てのヒモ男…。クズとまではいかないが、定職につかずフワフワと生きる息子や売れない小説家の元夫などちょっと頼りない男たちに囲まれている。 どんな男性でも少なからずどうしようもない一面を持っていて、この映画ではそんな…
詩について『パターソン』

詩について『パターソン』

すPhoto by MARY CYBULSKI(C)2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved. 2017年5月、アヤックスを下してEUリーグを制覇したマンチェスター・ユナイテッドの監督ジョゼ・モウリーニョの放った言葉。 “私にとって、チームが素晴らしかったというのもあるが、その根底にある…
地獄でいいかも『散歩する侵略者』※ネタバレ

地獄でいいかも『散歩する侵略者』※ネタバレ

(C)2017『散歩する侵略者』製作委員会 (ネタバレです。ご注意あれ) 本作の題名どおり、侵略者は散歩する。散歩しながら人類を侵略するのだという。たった三人で。ふざけた話である。 散歩して道行く人びとから「概念」とやらを奪って人間を理解することによって侵略は着々と進められているそうだ。が、彼らは「概念」集めに熱中する…
戦争映画のミニマリズム『ダンケルク』

戦争映画のミニマリズム『ダンケルク』

鑑賞後にまず思い浮かんだのは、これは戦争映画を限りなく娯楽的に描こうという、ノーラン流の実験なのかなということ。 それが証拠に血が出ない。不自然なくらいに。これは凄惨な流血・人体欠損表現によって戦争の残虐性を強調した『プライベート・ライアン』や『野火』(まあ、後者はゾンビ映画に近いが)とは対極のアプローチである。すなわ…
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