
(C)2017 Twentieth Century Fox
最近はテレビ朝日で「シルバータイム」と銘うち、昼の12時半から正味1話15分の帯ドラマを放映しています。1作目は2017年4月~9月の『やすらぎの郷』(脚本:倉本聰)でした。そして第2弾が『トットちゃん!』(脚本:大石静)(2017年10月~12月)です。あの黒柳徹子の半生記。かつてNHKの朝の連続ドラマ『チョッちゃん』(1987年脚本:金子成人)(黒柳徹子のお母さんが主人公の話)があり、つい最近もNHKBSで放映された『トットてれび』(1話30分×7話 2016年脚本:中園ミホ)があって、これもかなり楽しい作品でしたし、原作本や関連の本も売れていて既に数々の逸話は周知されています。ある程度ネタバレをしている難しい状況で始まりましたが、毎回楽しくて、実際に評判の良いドラマです。この評価に貢献したのが(断言します!)、黒柳徹子の子ども時代(小学校1~6年生まで)を演じた豊嶋花でした。連続ドラマで子役の演技に涙したのは彼女が初めてでした。小賢しいとか、こましゃくれた所もなく、トットちゃんってこんな子だったんだろうなと思わず感情移入してしまうのです。彼女の凄さは自分だけ突出するのではなく周りの子役の水準も一緒に上げていくような感じすらあるのです。子役の域を超えていました。一俳優として素晴らしく、こんな子供がいるのかと感心しながら見ていました。その他出演は松下奈緒、山本耕史、その後を引き継いだ清野菜名も好演しています。チョッちゃんの母親役に、かって朝の小説チョッちゃんを演じた古村比呂を起用するという心憎い演出もありました。
そして映画にも、すんごい子供がいました。『ギフテッド』(監督マーク.ウェブ)のマッケナ・グレイスです。フィクションです。この話は驚異的な数学的才能を持った7歳の女の子メアリーと叔父フランク(母親の弟)の2人暮らしを描いた作品です。ギフト(才能)があるがため、それがハンパないものなので苦悩します。こんなギフトならさぞ重荷だろうと思ったのは『ジャージー・ボーイズ』(2014年監督クリント・イーストウッド)の時と同様です。学校に行っても周りの子がガキに見える。特に算数の授業などばかばかしくて付き合ってられない。学校側も自分たちでは指導できないから、いわゆるギフッテッド教育の学校を勧める始末。もともと亡くなった母親(彼女も天才)が子供に普通の暮らしをさせようと、自分の弟に子供を託した形になっているのですが、思惑を持った大人が近づいてきます。
メアリー演じるマッケナ・グレイスが特徴的なのはまず、目つき。下の方から睨み付けるようにする目つきの鋭いこと!感情を爆発させるときと抑える時のメリハリ、正義感が強くて、間違いについて食ってかかる時の感情表現、クラスの仲間を思いやる様子、頭の回転が速い分、言葉にはセンシティブで疑心暗鬼になる表情、叔父への親近感も伝わってきますし、甘える様子は子供らしくて実に可愛いです。マッケナ本人は撮影時に学校で割り算を学んでいる最中だそうですが、微分積分とか平方根とか立て板に水のごとくしゃべります。この子供も子役の範疇を超えています。
叔父さんはあの「キャプテン・アメリカ」のルーク・エバンス。不器用で実直な感じが伝わってきます。自分に絶対的自信を持っていないのが好感を呼びます。迷いながら生きているのを隠さないのも強さなのかもしれません。この映画の大人達は子供同様に色々間違いを犯します。判断ミスもするし、卑屈になってやけ気味になったり、意志が強い裏返しで思い込みが強すぎたり、人に自分の意見を押し付けたりしますが、間違いに気づけば振り返り、ただそうと振る舞えるのです。つまり大人も子供も成長する話なのです。
大人も子供も成長するというのは『トットちゃん!』でも同じで、お嬢様育ちのお母さんはいつしか逞しくなり、芸術家(著名なバイオリン奏者)の気難しい父さんも性格的に丸くなります。トットちゃんも類い希なるギフトをもらった子供でした。しかし他人と同じように振る舞えずに小学校も退学になるような目に遭ってましたが、トモエ学園というフリスクールのような学校で校長先生から無条件に存在のすべてを受け入れて貰ったことから始まり、後に「皆さまの黒柳徹子」になります。『ギフテッド』でも天才少女メアリーは大好きなフランクに受け入れられて(またフランクも受け入れられて)日々暮らすのが至極妥当なことだと思いながら、物語の成り行きを見守ってしまうのです。偶然、同時期に日本人の目に触れた日米2つの物語は、国家も民族も時代背景も違うのに心地よいシンクロニシティが起きています。
『ギフテッド』
監督:マーク・ウェブ
出演:クリス・エバンス、マッケンナ・グレイス、オクタビア・スペンサー
原題:Gifted
製作年:2017年
製作国:アメリカ
上映時間:101分


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