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特別企画

kiki が選ぶ 2017 年ベスト 10

なんだか今更になってしまったけれど、2017年のベストを選びました。
上半期は頑張って観た映画について書いたけれど、下半期はかなり滞ってしまった。その代わり映画祭へは足繁く通っていたわけだが。

劇場で鑑賞したのは139本、家で鑑賞したのも含めた総数だと156本。
実は今まであまり劇場で鑑賞していなかったので、人生で最多を叩き出した。もうちょっと頑張れたかなと思うのだが、何本映画を観ても観たりないと感じるように、まだいけたのにと思ってしまうのだろう。

そんな2017年、今年のベストです。
順位はつけていないため、あいうえお順で。

『ELLE』(ポール・ヴァーホーヴェン、2017)/『未来よ こんにちは』(ミア・ハンセン=ラヴ、2017)
さっそく、まとめてしまいました!ユペール枠ということで許してほしい。
この2本を同じ年に観れたことが嬉しい。一方は男性監督、もう一方は女性監督の作品にも関わらず、驚くほど共通点が多い。なぜか?それはまさに、イザベル・ユペールのペルソナが確立しているからだろう。
どちらのユペールも、自分の意思をしっかりと持った強い人間だった。自分で考え、自分で動き、自分で答えを導き出す。その姿と佇まいが美しい。
▶︎『ELLE』についての詳細感想はこちら
▶︎『未来よ こんにちは』についての詳細感想はこちら

『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ、2017)
久しぶりのカウリスマキ、そして最後の?カウリスマキ。そのことだけでも泣きそうなのに、なんと決意の強い作品なのか。昔から労働者といった社会的にマージナライズされた人々を描く映画が多かったが、それが今や移民になった。しかし彼らに対する姿勢は一貫したままだ。
貧困や差別に合う登場人物たちを美化するわけでなく、かといってそうではない人々に対して罪悪感を押し付けるわけではない。どちらの立場もフラットに扱い、弱者には手を差し伸べて強者は皮肉る。一方的でない形で自分の中の善意(とか、他人を思いやる気持ちとか)を気付かされ、心の内側から刺激される映画だった。

『クーリンチェ少年殺人事件』(エドワード・ヤン、1991)
どうしようかと考えたのだが、結局入れてしまった。やっぱり、凄い威力を持った作品なので。
これからもふと思い出していくのだと思う。

『パーソナル・ショッパー』(オリヴィエ・アサイヤス、2017)
これも、上半期から。クリスティン・スチュワートも俳優としてのキャラクターの印象が強いタイプだなと思う。
スリラーのジャンル映画としてとっても、ひとりの人間の揺らぎがちなアイデンティティの話としてとっても、おもしろかった。
▶︎『パーソナル・ショッパー』についての詳細感想はこちら

『パターソン』(ジム・ジャームッシュ、2017)
なんとなく離れがちだったジャームッシュだが、久しぶりに心を動かされた。映画の領域を出てしまった気がする。リフレインを繰り返す描写、重なり合うイメージとサウンドで構成されたこの作品は、映画ではなく詩そのものだった。
浮世離れしたパターソンの日常を微笑ましく観るもよし、映像体験に浸るもよし、だと思う。

『パティーとの二十一夜』(アルノー&ジャン=マリー・ラリユー、2015)
2016年の東京国際映画祭で上映されたようだったが、2017年フィルムセンターで行われた EU FILM DAYS にて鑑賞した。
素晴らしい、とにかく素晴らしい。生と死が全く平等に、前向きに明るく扱われている。生きることも死ぬことも、どちらも楽しい気がしてくる。観た後の開放感たるや、この瞬間を求めて私は映画を観続けるんだなと再確認できた。
▶︎『パティーとの二十一夜』についての詳細感想はこちら

『ハルチカ』(市井昌秀、2017)
これも上半期から。意図的にベスト10の中に入れている。いい作品(と同時に、奇妙な作品)なのにどうやら周囲の人はあまり観ていないようなので、2018年もひたむきにプッシュしていきたい。
あと個人的に2018年はコメディエンヌ以外の環奈ちゃんも観たいです。

『バンコクナイツ』(富田克也、2016)
こちらも上半期から。ひょいひょいと領域を越えるこの映画は、国という既成概念を見事に崩してくれる。そこにあるのは土地であり、人である。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン、2017)
アメリカからこんなに渋い作品が出てくるのかと、驚いた。主人公リーの持つトラウマに虚無感と深い悲しみを感じ、慟哭せざるを得ない。ちょっとでもいいから希望を与えてほしいと願わずにはいられなくなる。
そんな気持ちだったからなのか、ドラマティックにさせない、抑えたトーンのあのラストに救われた。

『ローガン・ラッキー』(スティーブン・ソダーバーグ、2017)
いやあ、面白かった。音楽も好きで、鑑賞後すぐにサントラを iTunes で購入した。多分私は落ちぶれた役をするチャニング・テイタムと(『マジック・マイク』での彼とか)、ただでさえ人間離れした体格のアダム・ドライバーがさらに人間離れしているのが好きなんだと思う。

以上です。
『女神の見えざる手』や映画納めで観た『人生はシネマティック!』、『グッド・タイム』、『彼女の人生は間違いじゃない』なんかも入れたかったけれど…。たくさん良い映画を観れたし、映画祭にも行けたし、人と知り合えたし、楽しい一年だった。

2018年は、もう少し頑張って感想文を書きたい!(と、毎年申していますが、今年こそ)
今年もどうぞみなさま、よろしくお願いいたします。

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kiki aoki
本当は息を吸うように映画を見たいのだけれど、と思いながら毎晩眠りにつく。
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