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普遍であることの意味『カプール家の家族写真』

普遍であることの意味『カプール家の家族写真』

(c) Dharma Productions, Fox Star Studios なぜ赤の他人同士が共感できるのかと言えば。 それは規模の大小こそあれ、多くの場合、誰しも似たような経験や境遇に晒されたことがあるからだ。そして人類の大半が共通して保有しているものとは何か。 家族である。 孤児として生まれ育ったわけでもない…
東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会 函館三部作の大トリということで舞台はもちろん函館。 僕のイメージする函館という地を感じさせる記号は坂やカモメに表れてはいたものの、主たる舞台は職業訓練校・キャバクラ・安アパート・動物園など、およそ映画的に豊かなイメージを喚起するとは思えない場で、しかし映画としたいいようが…
ぬめってナンボの『X-コンタクト』

ぬめってナンボの『X-コンタクト』

(c) カルチュア・パブリッシャーズ CGに足りないものは何ぞや。 これを数え出したら十指に余るが、ことホラーという文脈では何を措いても「ぬめり感」ではないかなと私なんかは愚考する。 例えばかの名作『エイリアン』の主役たるビッグチャップの、ぬらっと黒光りする頭部。カーペンターの『遊星からの物体X』に登場するクリーチャー…
青い時間。おしゃべり『レネットとミラベル/四つの冒険』

青い時間。おしゃべり『レネットとミラベル/四つの冒険』

©Les Films du Losange/C.E.R 仙台にある実家から歩いて15分のところに「フォーラム仙台」という映画館がある。 本作は、帰省している折にその映画館に部屋着のままふらっと観に行ったものであるが、そういう感じで観るのに相応しい「軽やかさ」を身にまとった作品だ。 『緑の光線』を撮り終えた直後、編集もそ…
ダンス・ダンス・ダンス『山河ノスタルジア』

ダンス・ダンス・ダンス『山河ノスタルジア』

C)Bandai Visual, Bitters End, Office Kitano 僕は映画の中のダンスに過敏に反応してしまう傾向があり、ゆえに印象的なダンスシーンが3つも存在する『山河ノスタルジア』には相当心を揺さぶられた。 本作は、過去(1999年)・現在(2014年)・未来(2025年)と、時代で区切った3パ…
胸キュンの回転寿司へようこそ『君の名は。』

胸キュンの回転寿司へようこそ『君の名は。』

(C)2016「君の名は。」製作委員会 映画の観方として。 私は原則的に、映画というものに「胸キュン」を求めない。なので映画を鑑賞中に胸キュンが始まったら、感受性のスイッチを切って無心になるか、目をつぶって視覚的に胸キュンを排除し、胸キュンの影響を受けないようこれ努める。 実のところ、多くの映画において胸キュンは作品を…
遠い国の昔話と片付けることなかれ『チリの闘い』

遠い国の昔話と片付けることなかれ『チリの闘い』

(C)1975, 1976, 1978 Patricio Guzman 本作の監督であるパトリシオ・グスマン作の『光のノスタルジア』と『真珠のボタン』を上映会で扱わせていただいた。 この2作品は、独裁者ピノチェトによって夥しい人々が収容所に送られ苛烈な拷問を受け命を落としたことを、宇宙的視野で淡々と見つめている。 その…
タイトルに惑わされないで『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

タイトルに惑わされないで『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

(C)2014 InterActiveCorp Films, LLC.  名は体を表すというが、邦題となると必ずしもそうではない。かつて激似のタイトルとは全くの別作。確かに「ニューヨークの大人になれないオトナたち」のイメージだし、原題”While We’re young”にも近いニュアンスだが、…
「大久保渉」が選ぶ2016年上半期べスト5

「大久保渉」が選ぶ2016年上半期べスト5

「映画のどこが面白い?」2年くらい前にとある懇親会で6人くらいとお話したことがある。「世界の人々や風景が楽しめる」「ストレス発散」「社会問題をそこに見る」「女優好き」等など。その時自分がなんと言ったかは覚えていないが、今は、個人的には「映画が自分の毎日にふっと息を吹きかけてくる」ようなものが好きなので、そんな感じで、2…
ある俳優の傾向と秘策  『レジェンド 狂気の美学』

ある俳優の傾向と秘策 『レジェンド 狂気の美学』

(C)2015 STUDIOCANAL S.A. ALL RIGHTS RESERVED. 俺の出演作はクオリティが高い。共演者にも恵まれているのさ。でも、今年2016年はつくづく残念だ。出演作がアカデミー賞の作品賞ノミネートに2作だぜ!なのに、このトム・ハーディー様がアワードには無縁…。アカデミー会員ってーのは、合わ…
「Kana」が選ぶ2016年上半期ベスト5

「Kana」が選ぶ2016年上半期ベスト5

初めての執筆です。ベスト5企画からのスタートということで、気楽に構えていましたがベスト5が決まらず頭を悩ませました。優柔不断な人間にとっては映画に順位をつけるのも一苦労です。 第5位  『オデッセイ』 (監督:リドリー・スコット) 落ち込んだ時に観たい作品かも。前向きで行動的な主人公に癒されます。観るだけで元気が出る感…
「poco」が選ぶ2016年上半期BEST5

「poco」が選ぶ2016年上半期BEST5

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC 難航した上半期BEST5選出 なるべくジャンルが偏らないように観ていても結果は…。 第5位『俳優 亀岡拓次』(監督:横浜聡子)@新宿テアトル 安田顕って? 安田顕って! ええ~っ安田顕って…、面白かった。   …
映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

自分は生まれ落ちる時代を間違えた、と過去に思いを馳せている人は案外多いのではないだろうか? 「独眼竜政宗(1987年放送)」で渡辺謙演ずる伊達政宗も「あと10年早く生まれていれば秀吉でなく自分が天下をとれたのに!」と歯軋りして悔しがっていて、仙台出身の僕もテレビを観ながら一緒に嘆いたものだ。 『ミッドナイト・イン・パリ…
「rinko」が選ぶ2016年上半期べスト5

「rinko」が選ぶ2016年上半期べスト5

気が付いたらもう7月… 今年前半は仕事が繁忙期であまり映画見に行けなかった..後半はたくさん見たいな…. それでは、上半期ベスト5いってみよ~。 第5位『レヴェナント 蘇えりし者』 (監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ) @新宿ピカデリー とにかく壮絶な映画だった!凍死しない為に墜落死した動物の内臓を全部取り…
悲しき社畜を笑って撃たれる『日本で一番悪い奴ら』

悲しき社畜を笑って撃たれる『日本で一番悪い奴ら』

(C)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会 猥雑なパワーに満ちた実に東映らしい快作である。 東映(本作は日活と共同配給だが)にはこういう作品をどんどん世に放って欲しい。 主人公の悪徳警官・諸星を演じる綾野剛が素晴らしい。 エネルギー全開で「バカ」を演じ切っている。すごいバカだ。 何がバカって、徹頭徹尾「社畜」な在り…
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