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青春

青い時間。おしゃべり『レネットとミラベル/四つの冒険』

青い時間。おしゃべり『レネットとミラベル/四つの冒険』

©Les Films du Losange/C.E.R

仙台にある実家から歩いて15分のところに「フォーラム仙台」という映画館がある。
本作は、帰省している折にその映画館に部屋着のままふらっと観に行ったものであるが、そういう感じで観るのに相応しい「軽やかさ」を身にまとった作品だ。

『緑の光線』を撮り終えた直後、編集もそこそこにキャメラを35mmから16mmに持ちかえ、監督・プロデューサー・撮影・録音の4名のみのクルーで撮ったものだという。
その撮影態度の身軽さがまさに作品に反映している気がする。
軽やかさ・身軽…今の時代にすごく大事なことだと思うんですよね。

では、4つの挿話ををオムニバスのごとく配した可愛く愛すべき本作について感想を述べてみたいと思う。

第1話「青の時間」
自転車のパンクが原因で、ミラベルは田舎の一軒家に独りで住まうレネットに出会う。
牧歌的な風景、美しい木漏れ日、森のざわめき。そんな風景にハっと目を引く赤。赤い水バケツ、赤いカーディガン、食卓の赤い果実。
『緑の光線』を彷彿とさせる一瞬だけ現れる自然の神秘を前に、何もかも正反対な田舎娘とパリジェンヌが溶け合ったように感じられる恍惚。

第2話「カフェのボーイ」
レネットは絵の勉強のためパリに出てきてミラベルとルームシェアを始めることになる。
些細な釣銭問題で揉める偏屈なカフェのボーイとレネット。どうでもいい会話が続くだけなのにそれで充分おもしろいのはなぜ?ロメール一流の話芸を堪能できるなどとわかったような事は言わず、この不思議を堪能したい。

第3話「物乞い。窃盗常習犯。女詐欺師」
物乞いと窃盗についてレネットとミラベルが交わす倫理観をめぐる議論。価値観が正反対なうえに二人とも頑固なため議論がやたら理屈っぽくて長い。
しかし一人になると自身の展開した話と全く違った行動をケロっととる若さゆえの軽さ。それが映画で描かれると奇跡を見たかのような気にすらなる。

第4話「絵の販売」
さんざん喋り散らかしてきたレネットを一切黙らせるという設定。思いつくけどふつうなかなか徹底して描ききらないものだ。作品を締めくくるウェルメイドな仕上がりに満足して劇場を後にすることになりました。

ロメール、全部観直したくなりました。
「ロメールと女たち」。素晴らしい特集だと思いますね。

『レネットとミラベル/四つの冒険』
監督:エリック・ロメール
出演::ジョエル・ミケル、ジェシカ・フォルド
製作年:1986年
製作国:フランス
上映時間:95分

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館長
館長
仙台で映画館を開業して、生まれ故郷の発展に貢献したいと思っている50歳です。 50年間、経済的にも精神的にも映画に救われ続けてきたという思いがあります。 ミニシアターを作ることで、ささやかながら映画に恩返ししたいと思っています…といっても何か秘策があるわけではまるでなし。 今できることは、とにかく思いを発信し続けていくだけです!
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