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この“それ”は感染るんです『イット・フォローズ』

この“それ”は感染るんです『イット・フォローズ』

人間が感じる恐怖は千差万別だ。 ナイフや銃を突き付けられるという物理的な恐怖に始まり、暗闇に対する漠然とした恐怖、仕事や恋人を失いたくないという現実的な恐怖。 『イット・フォローズ』で描かれるのは追われる恐怖だ。と言っても、ヤク中の借金取りや、般若心経を諳んじるモヒカン頭のパンクロッカーに追われるわけではない。それはそ…
不意打ちのショックと感動。『母と暮せば』

不意打ちのショックと感動。『母と暮せば』

(C)2015「母と暮せば」製作委員会 衝撃作である。 序盤と終盤にとんでもないショックが用意されている。 「母と暮せば」は、細やかな日常描写の積み重ねによって描かれる「具」が、序盤と終盤の衝撃という「生地」に挟まれたサンドウィッチのような作品だ。 まず序盤。長崎における原爆投下シーン。 古今東西、映画の中ではさまざま…
「うたたねむにゃたろう」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

「うたたねむにゃたろう」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

今年は映画的に非常に充実した1年を過ごしましたが、劇場鑑賞という意味では後半急激に失速してしまったむにゃたろうです。。 なので、「うたたねむにゃたろう的ベスト10」は、ほぼ上半期(1〜6月)からの選出となりました。夏興行も秋の映画祭ラッシュも全然行けなかったけど(泣)それでも194本(短編含む)から2015年心に残る1…
rinkoの選ぶ『2015年公開作ベスト10』

rinkoの選ぶ『2015年公開作ベスト10』

1位:『タレンタイム』@マレーシア映画ウィーク<旧作:2009年>(ヤスミン・アフマド) 映画館でこんなに泣いたの初めて!っていう位ボロボロ泣きました。主人公の一途な思いに心をわしづかみされて、暫くヤスミンワールドにどっぷり浸ってました。2016年公開予定。超オススメです。 2位:『銃弾の饗宴 ラームとリー…
「昭和モダ子」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

「昭和モダ子」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

第1位 『恋人たち』(橋口亮輔) 描かれるのは日常。なのに,心臓がえぐられるくらいの苦しみまで体験できる映画。 1位はもうこれしかないです。 苦しみの先にあるものを知りたい方に。 第2位 『ルック・オブ・サイレンス』(ジョシュア・オッペンハイマー) 人間とはかくも自分の罪に向き合えないものか。 大量虐殺の裏にある「責任…
「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

© movpins 題名である『モーツァルトとクジラ』とは、ハロウィンで仮装をした主人公ドナルド(ジョシュ・ハートネット)とイザベル(ラダ・ミッチェル)のことを表す。 「いつだって僕はパレードの傍観者なんだよ」 ハロウィンの夜。煌びやかに打ちあがる花火や、手をつなぐ恋人たち。そのような風景を背に、俯きながら主人公のドナ…
「凛」が選ぶ『2015年劇場公開ベスト10』

「凛」が選ぶ『2015年劇場公開ベスト10』

© 『FOUJITA』製作委員会 01位『FOUJITA』監督小栗康平 TOHOシネマズ六本木@天に伸びゆく、祈りのような自然の声。静寂の中、失われゆくものは、どのような声を発し、私たちに訴えるのだろうか? この作品に出逢えたことを大変誇りに思います。小栗監督、ありがとう! 02位『終電車』監督フランソワ・トリュフォー…
「大久保渉」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

「大久保渉」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

第1位『私たちのハァハァ』 (松居大悟) @テアトル新宿。やはり日本人なので、勢いのある邦画にはビビッときてしまいます。自分も全力で走らねば…と胸が熱くなりました。 第2位『タレンタイム』(旧作:2009年) (ヤスミン・アフマド) @シネマート六本木。人と人がつながりあう様をこの上もなく温かく描き切るヤスミン映画に心…
「とら猫 aka BadCats」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

「とら猫 aka BadCats」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

第1位『セッション』 本年度もっとも濃密だった映画体験。気づくと、鬼教授フレッチャーが浴びせる罵倒の嵐に酔いしれている自分がいる、究極のマゾ対サド系音楽バトル。町山氏と菊池氏の場外論争も話題に。 第2位『ナイトクローラー』 ジェイク・ギレンホールに本年度アカデミー“ぎょろ目”大賞を贈りたい、12キロの減量を慣行した役者…
「館長」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

「館長」が選ぶ『2015年劇場公開作ベスト10』

第1位『アメリカン・スナイパー』 (クリント・イーストウッド) @丸の内ルーブル これを1位に持って来ないと、横綱不在の大相撲みたいで締まりがつかないですね。 第2位『岸辺の旅』 (黒沢清) @丸の内TOEI2 死と愛を真正面から捉えた、心に残る1本。 第3位『恐怖分子』(旧作:1986年) (エドワード・ヤン) @シ…
心の中で鳴り響く音楽『SOMEWHERE』

心の中で鳴り響く音楽『SOMEWHERE』

中学生の頃、テニス部の市内大会で優勝したときに「世界が真っ白になった」ような感じがした。 高校生の頃、生まれて初めて付き合った同級生と夏祭りでそっと手を繋いだ瞬間に「甘いメロディーが流れ始めた」ような感じがした。 今でもなんとなく思い出す、その瞬間、その感覚。その他にも、10代の頃には何やかんやと「心の中」が劇的に彩ら…
吹っ切れたシャマランが握る剛球寿司『ヴィジット』

吹っ切れたシャマランが握る剛球寿司『ヴィジット』

こないだの『サイン』のレビューで、本作はシャマランの原点回帰であると嘯いてみたが、いやしくもシャマラニストを自称する者としてこれは浅薄な考察であった。ちょっと頭が沸いてた。魂抜けちゃってた、軽く。 んだってばシャマランに原点回帰などありえない。なぜならこの男はシャリとネタの組み合わせから生まれる小宇宙、映画という名の寿…
完全に埋もれてる気がするけどまちがいなく傑作「めぞん一刻」

完全に埋もれてる気がするけどまちがいなく傑作「めぞん一刻」

果たして実写版映画「めぞん一刻」をどれほどの人が意識化しているだろうか? かくいう僕もこの作品の映像の一端を偶然見かけて「おお!」と思い、DISCASで取り寄せて鑑賞した次第。 「めぞん一刻」は、まさに「映画そのもの」だ。 映画のかぐわしい香りがいっぱいに詰まっていて、観ているだけで(むろん映画は観るものだが)幸せにな…
孤独を絵として愉しむ「サイの季節」

孤独を絵として愉しむ「サイの季節」

孤独- 世の人々が恐れる最たるもののひとつであろう。 現在のSNS隆盛のご時世下において、人々はあらゆる方向につながっているように見えて実は全然つながっていない。わざわざここで僕が指摘するまでもなく、多くの人が実感していることだと思う。 一方、映画を評するさいに“この映画は現代人の孤独をえぐり出している~”などという、…
銃ではなく、言葉を『それでも僕は帰る~シリア 若者たちが求め続けたふるさと~』

銃ではなく、言葉を『それでも僕は帰る~シリア 若者たちが求め続けたふるさと~』

(c)UNITED PEOPLE ドキュメンタリー映画『それでも僕は帰る~シリア 若者たちが求め続けたふるさと~』。2011年から始まったシリアにおける民主化運動の闘争を、若きリーダー・バセットの傍らで約2年間に渡って撮影し続けたという今作。 映像の中で目視できた死体の数は30体以上。口や鼻から血をたらして横たわってい…
シャマラニズムの神髄に触れる『サイン』

シャマラニズムの神髄に触れる『サイン』

「シャマランには何度も裏切られた」と恨みごとをつぶやく映画ファンは多い。 気持ちはよく分かる。シャマランにとって最大の不幸は『シックス・センス』でデビューし、図らずもハリウッドという高峰を制してしまったことだろう。 かくして“どんでん返し職人”の重い十字架を背負わされたシャマランは、新作を発表するごとに“シックス・セン…
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