(c) Les Films du Worso, Noodles Production 足りないんだ、言葉がああああっ。 と、叫びたくなることは結構ある。特に仕事をめぐっての舌足らずは致命的で、例えばあるお客様から「あ、その辺はとら猫さんの団扇…じゃなかった、センスにお任せしますんで、ほんともう、好きなようなやっていただ…
(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 「のん」。 シンプルすぎる名前だ。ほとんど人を食ったような次元で。しかし、能年玲奈という才能が今陥っている不遇を踏まえて見直すと、その印象はがらりと変わってくる。 その字面から漂ってくるのはゆるやかな「拒絶」。自分はどの領域にも属さず、決して怒鳴らず、批判せず…
(C)sakuko film partners 「海辺を男の子と女の子が歩いている。ただそれだけで、スクリーンが息づき満たされるような、そんな映画を作りたい ~中略~ ただ人が歩き、話し、誰かとすれ違っていく。そのすれ違った後に残された景色に、何か見る者の記憶に触れるような余韻を残せればと思う」 これは脚本が完成する前…
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. 本作に先立って『スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド』を観た。たまたまだが。 哲学者スラヴォイ・ジジェクが、数々の有名映画の一場面を引用しながら持論を展開(関係ないけど、スポーツ選手や芸能人…
(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMA 映画の鑑賞後感はエンディングが明快であったり、明るく終わるとそれまで暗い内容でも良い気分になれたりする。逆に心がざわついたり、えーっ!?というような終わり方だと何か心に引っかかって素直に良かったと言えない場合がある。しかし作品に力があれば、むし…
(C)Blumhouse Productions/Blue-Tongue Films 笑って水に流そうや。 なんて言うが、現実世界において自らの過怠や失態をゲラゲラ笑って水に流してもらえることなど、まずない。いや、ないことはないが、表面上は「いやいや、とら猫さん。人間だれしも過ちを犯すもんです。言うでしょう、罪を憎んで…
(C)2016「君の名は。」製作委員会 ついに『君の名は。』を観た。10月にしてやっとだけど。既に観た人によると、『君の名は。』を上映する劇場は学生や20代の若いカップルで溢れているとのこと。色々な意味で”切なく”なるぞと脅しの文句まで投げかけられ、単身でぽっと映画館に乗り込むには勇気が出ず、ずっと躊躇していた。しかし…
C)2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED. 2度観た。 1回目は爆睡してしまったから。 ふつう爆睡しても(僕は割とよく爆睡する)2度劇場に足…
(C)2016「永い言い訳」製作委員会 オープニング。美容師の妻(深津絵里)に髪を切ってもらっている小説家(本木雅弘)。 衣笠幸夫という本名から、鉄人(鉄人の方は「祥雄」だが)を引き合い出されるのは嫌だから“さちお”って呼ぶな、とか、鵺について熱く語っててバカみたいだからTV消せ(人気イケメン作家だからTVにも出演して…
(C)TvZero 分厚い鉄の扉をノックする中年の女性。 「ドン・ドン」 扉は開かない。 ちょっと強めに 「ドン・ドン・ドン」 やはり開かない。 何度かそんなノックが繰り返された後 「ドン!・ドン!・ドン!・ドン!・ドン!・ドン!」 ようやく扉が開かれる。 扉の向こうに何があるのか? 不安感を煽られつつ一気に引き込まれ…
© 2015 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved. 酒を酌み交わしながらどうでもいいことをえんえん語り合う2人ないし3人、というどう考えてもおもしろくない画の連なりがおもしろくってしかたないのだから、もはやマジックとしか言いようがない。映画の奥深さにただただ驚嘆の86分だ。 そ…
(C)RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED 風変りで耳に特徴があり、疑問は訊きただし、かつ論理的とこれば、スタートレックのバルカン人スポックだ。この主役に何を投影するのだろうか。言動や立ち居振舞いからすると同じスタートレックシリーズ「ネクストジェネレーション」のアンドロイド、データ…
© YUMEAKI HIRAYAMA / TORU KAMEI ひたすら辛い。痛い。苦しい。 それが『無垢の祈り』を観て、最初に湧き上がってきた感情だ。そしてそうした感情が一巡りし、脳内がリセットされた瞬間に突き刺さってきたのは「罪悪感」だった。 なぜなら、本作で描かれているフィクションは、今この瞬間にも、日本…
(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved 邦題は『ハドソン川の奇跡』だが、原題は「サリー」。本作の主人公であるサレンバーガー機長の愛称である。 その原題は、本作が大掛かりなパニック映画でなく一人の男の葛藤の物語であることを端的に表している、と僕には感じられた。 僕は映画鑑賞に先立…
(C)2016 PPZ Holdings, LLC いやもう絶対観ないタイプの映画と思ってた。タイトルに”ゾンビ”ってついてる時点で怖いでしょ。ゾンビ映画大嫌いだから。確かに、”高慢と偏見”は気になる。小説は未読だけど有名だからきっと面白いと思う。でもやっぱりゾンビ怖いし、B級っぽいからわざわざ映画館で観ることもないで…
(C)2016映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS 観終わった後にわき起こるやるせなさをどこにどう向けたらいいのかわからず途方に暮れてしまった。「やるせなさ」という表現が適切かどうかも自信がない。しかし愉快な感情が起きないことだけは間違いない。 慎ましやかに暮らす家族が得体の知れない男の闖入を…