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コメディ

享楽スパイラル『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』

享楽スパイラル『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』

(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

本作に先立って『スラヴォイ・ジジェクの倒錯的映画ガイド2 倒錯的イデオロギー・ガイド』を観た。たまたまだが。

哲学者スラヴォイ・ジジェクが、数々の有名映画の一場面を引用しながら持論を展開(関係ないけど、スポーツ選手や芸能人の大したことないコメントを紹介するニュース記事に「持論を展開」という紋切り型のフレーズが使われているのをよく目にするけど、常々間抜けだなと思っている)する映画だ。
あたま悪いんでほとんど理解できず上映時間の大半を睡眠に費やしてしまったのだが、2つだけ鮮明に覚えていることがあって、1つは「カトリックは究極の無神論だ」。ほほー!と思ったが、もちろん理解できているわけではない。
もう1つが「快楽と享楽の違い」。
快楽は強い満足を与えてくれる。しかし1つの快楽を満たすとネクストステージ快楽を求めることとなり、その止まらない連鎖が享楽だ。
享楽からは決して満足を得られない。
自分流に解釈すると享楽とは「もっともっと病」だ。現代資本主義はこの病に侵されていると僕は思うのだが、『エブリバディ・ウォンツ・サム』に登場する大学生たちはこの「もっともっと病」に完全にとりつかれているように僕の目には映ってしまったのだった。
「もっと楽しまなきゃ!もっともっと!!」

始業式を間近に控えた夏休み最後の3日間を、酒飲んで音楽流して踊ってセックスして恋をして野球をして…ひたすら遊び倒す。こんな自由に振舞えるのは大学生活だけだ、今をとことん楽しもうぜ!という空気感全開だ。
僕もいちおう大学生活というものを体験しているので共感できる部分もなくはないのだが、ここまで徹底して息をする間もないくらい遊び尽す若者たちを目の当たりにすると、正直違和感の方が勝ってしまった。
享楽スパイラルに陥ってる若者をシニカルに見つめる49歳というのが、本作の僕の鑑賞態度である。

長々と拙い持論を展開(笑)しましたが、49歳のおじさんが20歳前後の若者の溌剌ぶりにまるっきり共感したら気持ち悪いというだけの話で、ひたすら遊びまくるガキどもを描いているだけなのに飽きずに十分楽しめる映画を作れるリチャード・リンクレイターの演出力は、『6才のボクが、大人になるまで。』同様健在だなあと思った次第である。

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、ワイアット・ラッセル(カート・ラッセルの息子!)
製作年:2016年
製作国:アメリカ
上映時間:117分

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館長
館長
仙台で映画館を開業して、生まれ故郷の発展に貢献したいと思っている50歳です。 50年間、経済的にも精神的にも映画に救われ続けてきたという思いがあります。 ミニシアターを作ることで、ささやかながら映画に恩返ししたいと思っています…といっても何か秘策があるわけではまるでなし。 今できることは、とにかく思いを発信し続けていくだけです!
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