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2度観た。
1回目は爆睡してしまったから。
ふつう爆睡しても(僕は割とよく爆睡する)2度劇場に足を運ぶことはないのだが、本作の静謐な空気の裏側に潜む得たいの知れない何かに引き寄せられるような感じだったのだろうか。
1回目は3D。2回目は2Dで観た。
どっちでもいいと思う。
2Dだから作品の魅力を損なっているということは少なくともない。
2回目の鑑賞で、1回目は相当の時間寝ていたことに気づいて我ながら苦笑したが、初めて目にするショットの連なりに新鮮な喜びを見出すだけでなく、既に記憶しているシーンの素晴しさを2度味わう幸せも感じることができて、得した気分だった。
キャメラが常に動いているということを2度目の鑑賞で明確に意識した。
3D用の撮影機材はハンパなく重量らしいので手持ちキャメラの動きではない。
僕は手持ちキャメラの揺れが嫌いなのだが、本作の横にすーっと動くキャメラは気持ちよかった。特殊な装置を介して滑らかな移動ができるように工夫したらしい。
この動きでもって終始動くキャメラが、一見何も起こっていないかのようで実は見えないところで思いがものすごく渦巻いているかのような、そんな静の中の動を感じさせる世界に僕は惹きつけれれてやまないのである。
本作にはガラス窓が頻繁に登場する。
ガラスの向こうの会話にミステリアスな興味をそそられ、ガラスの外の風景に世界の広がりを見て心を高鳴らせる。本作における窓はそうやって様々な世界を垣間見せてくれる。
少なくとも、ガラスに映り込む景色の美しさに息を飲むという映画ならではの幸福を十二分に堪能できるだけでも、本作は僕にとって価値が高い。
さらに、ガラスの透明性に(僕が勝手に)感じる、「誰のせいでもない」のだから「誰にも肩入れしない」というヴェンダースの透徹した眼差しが大変心地よかった。
原題は「Every Thing Will Be Fine」。
本作を支配する空気感をよく表している。
「事故による幼い命の消失」というくびきから逃れえず時間が止まったままのように見える人々が、内面ではものすごい葛藤を抱えつつ、時間の流れとともに変化してゆく。
いろいろあるけど、時間はゆっくりとだが確実に過ぎてゆく。だから「すべて良し」。
得体の知れない「時間」について思いを馳せる境地にいざなってくれるのも、『誰のせいでもない』の魅力かもしれない。
『誰のせいでもない』
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムス
製作年:2015年
製作国:ドイツ、カナダ、フランス、スウェーデン、ノルウェー
上映時間:118分


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