Toggle

ヒューマン

タイトルに惑わされないで『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

タイトルに惑わされないで『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

(C)2014 InterActiveCorp Films, LLC.  名は体を表すというが、邦題となると必ずしもそうではない。かつて激似のタイトルとは全くの別作。確かに「ニューヨークの大人になれないオトナたち」のイメージだし、原題”While We’re young”にも近いニュアンスだが、...

ある俳優の傾向と秘策  『レジェンド 狂気の美学』

ある俳優の傾向と秘策 『レジェンド 狂気の美学』

(C)2015 STUDIOCANAL S.A. ALL RIGHTS RESERVED. 俺の出演作はクオリティが高い。共演者にも恵まれているのさ。でも、今年2016年はつくづく残念だ。出演作がアカデミー賞の作品賞ノミネートに2作だぜ!なのに、このトム・ハーディー様がアワードには無縁…。アカデミー会員ってーのは、合わ...

映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

自分は生まれ落ちる時代を間違えた、と過去に思いを馳せている人は案外多いのではないだろうか? 「独眼竜政宗(1987年放送)」で渡辺謙演ずる伊達政宗も「あと10年早く生まれていれば秀吉でなく自分が天下をとれたのに!」と歯軋りして悔しがっていて、仙台出身の僕もテレビを観ながら一緒に嘆いたものだ。 『ミッドナイト・イン・パリ...

哲学的尾行『二重生活』

哲学的尾行『二重生活』

(C)2015「二重生活」フィルムパートナーズ 「尾行」と聞いて心がざわつく。 いやらしい行為ではある。が、自分の素性を知られることなく相手の素行を探るという立場を与えられるとするなら、僕はその誘惑には抗えないと思う。 白石さん(門脇麦)は、修士論文のテーマとして担当教授(リリー・フランキー)から「哲学的尾行」をやって...

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

Photo by Sabrina Lantos (c)2015 GRAVIER PRODUCTIONS, INC. 人生に絶望した哲学教授。 色男ホアキン・フェニックスがお腹ぽっこり(役作りだろうか?だとしたら大したものだ)で演じており、「もうボク体型なんてどうでもいーんだよねー」感がよく出ている。実際教授は大学構内で...

ありそでなさそな……『海よりもまだ深く』

ありそでなさそな……『海よりもまだ深く』

(C)2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ 映画やドラマで登場人物がほぼ美男美女だったり、20代の主人公の一人暮らしが分不相応なマンションだったりだと、物語への共感度は下がってしまう。しかし一方、現実ばかりでもしんどいので、おとぎ話ならば、それも「あり」になる。 『海よりもまだ深く』...

子供に導かれて見えた世界『ルーム』

子供に導かれて見えた世界『ルーム』

(C)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015 人は大なり小なりコントロールし合って生きているものだということは頭ではわかっているが、他人からあからさまにコントロールされていることが自覚される状況は僕にとって最悪の悪夢...

エアロビクス!『世紀の光』

エアロビクス!『世紀の光』

(C)2006 Kick the Machine Films 冒頭またはラストのカットが印象的な映画というのは数多くある。 が、『世紀の光』のようにその両方とも鮮明に記憶に残ってる映画は珍しい。 もっともこれは僕の記憶力の問題である。 日々いろんなことを忘れて生きているが、せめて映画くらいは記憶にとどめておきたいものだ...

生と死の両方の喜び『アンジェリカの微笑み』

生と死の両方の喜び『アンジェリカの微笑み』

(C)Filmes Do Tejo II, Eddie Saeta S.A., Les Films De l’Après-Midi,Mostra Internacional de Cinema 2010 『岸辺の旅』でも書いたが、僕は死をどうしようもなく恐れ、同時に、いやそれゆえに”死”に並々な...

二度と戻らぬ少女を映画に刻む『天使が消えた街』

二度と戻らぬ少女を映画に刻む『天使が消えた街』

”映画作りに苦悩する映画監督”の映画である。 同じ題材で真っ先に頭に浮かぶのが、フランソワ・トリュフォーの「アメリカの夜」。 撮影現場の混乱と活気を描いた、映画作りは大変だけど、”それでも映画を作り続ける”という力強い映画愛に満ちた作品だ。 「天使が消えた街」はそれとはまったく趣が異なる。 主人公の映画監督トーマスは、...

不意打ちのショックと感動。『母と暮せば』

不意打ちのショックと感動。『母と暮せば』

(C)2015「母と暮せば」製作委員会 衝撃作である。 序盤と終盤にとんでもないショックが用意されている。 「母と暮せば」は、細やかな日常描写の積み重ねによって描かれる「具」が、序盤と終盤の衝撃という「生地」に挟まれたサンドウィッチのような作品だ。 まず序盤。長崎における原爆投下シーン。 古今東西、映画の中ではさまざま...

「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

© movpins 題名である『モーツァルトとクジラ』とは、ハロウィンで仮装をした主人公ドナルド(ジョシュ・ハートネット)とイザベル(ラダ・ミッチェル)のことを表す。 「いつだって僕はパレードの傍観者なんだよ」 ハロウィンの夜。煌びやかに打ちあがる花火や、手をつなぐ恋人たち。そのような風景を背に、俯きながら主人公のドナ...

心の中で鳴り響く音楽『SOMEWHERE』

心の中で鳴り響く音楽『SOMEWHERE』

中学生の頃、テニス部の市内大会で優勝したときに「世界が真っ白になった」ような感じがした。 高校生の頃、生まれて初めて付き合った同級生と夏祭りでそっと手を繋いだ瞬間に「甘いメロディーが流れ始めた」ような感じがした。 今でもなんとなく思い出す、その瞬間、その感覚。その他にも、10代の頃には何やかんやと「心の中」が劇的に彩ら...

孤独を絵として愉しむ「サイの季節」

孤独を絵として愉しむ「サイの季節」

孤独- 世の人々が恐れる最たるもののひとつであろう。 現在のSNS隆盛のご時世下において、人々はあらゆる方向につながっているように見えて実は全然つながっていない。わざわざここで僕が指摘するまでもなく、多くの人が実感していることだと思う。 一方、映画を評するさいに“この映画は現代人の孤独をえぐり出している~”などという、...

トランシネマ第2回上映会記念『シンプル・シモン』合評

トランシネマ第2回上映会記念『シンプル・シモン』合評

トランシネマが仙台で開催する、第2回目の上映会の日が近づいてきました! 今回は、上映会の開催と「トランシネマWEB」の開設をダブルで記念して、上映会で上映する「シンプル・シモン」をレビュアー全員で合評しました。 レビュアーによるさまざまな視点によって「シンプル・シモン」の魅力があらゆる角度から語られています。 どうぞ楽...

死から照射される生の喜び。『岸辺の旅』

死から照射される生の喜び。『岸辺の旅』

©2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 私は、50歳を前にして未だに「死」が怖い。 誰しも、子供の頃に初めて「死の概念」を知って恐怖におののいた経験があると思う。しかしいずれその恐怖と折り合いをつけていくか、もしくは単に忘れていく。それが普通の大人だ。そういう意味で私は大人になりきれていな...

Return Top