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ヒューマン

最悪の選択が最良の選択になるということ『光をくれた人』

最悪の選択が最良の選択になるということ『光をくれた人』

(C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC 子供の授からない夫婦がたまたま流れ着いてきた赤ちゃんを自分の子として育てるという「過ち」を犯すことから、胸の引き裂かれるような悲劇に発展していく本作。 そのまま黙って秘密を墓場まで持っていくという選択肢もあったかと思う。僕もそれでいいん...

街が泣いてた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

街が泣いてた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved. 男は酒場で『酒と泪と男と女』のように振舞っていても、切ないくらいに真面目で不器用、身内と思う人には何を言われてもキレないのに、赤の他人には些細なことでキレる。心を苛んでいるのは罪の意識だが意外にも自覚はない。根無し...

拒絶と選択『害虫』

拒絶と選択『害虫』

公開から15年経った作品だが、あるキッカケで観直すことになり、鑑賞後のやり切れない気持ちに収まりがつけられずに困惑した。15年前はどう対処したのだろう?まったく憶えていない。 主人公サチ子は、小学6年生で担任の教師との恋愛を経験する。 やがて教師は秋田の原発で働くことになり、父は自殺し母は自殺未遂… 「悪い虫」がぶんぶ...

惑う人、生ける都市。『台北ストーリー』

惑う人、生ける都市。『台北ストーリー』

(C)3H productions ltd. All Rights Reserved 主人公アリョン(演ずるはなんと、ホウ・シャオシェン!)は過去に捉われている。少年野球のエースだった栄光を引き摺っている。 ことあるごとに少年野球チームの練習や試合を見に足を運んだり、米国滞在中に録りためた大リーグの試合を繰り返し鑑賞し...

壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

(C)This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016 本作の主人公ベラは、自分固有の秩序を守って暮らしている。 自ら作り上げた秩序に暮らす人というと、『シンプル・シモン』の主人公シモンが思い出される。 彼がアスペルガー症候群というのがあるにせよその秩序は多分に原理主義的であり、まるで要塞のよう...

世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

海外渡航経験は僅かだが、30代前半に1週間ほどフランクフルトへ行った。当時の職場は労働組合で上部団体主催の海外交流研修だった。相手の労組に※人生で100回目のストライキの指揮を控えている男性がおり、我々日本人の間では、真面目な頑固おやじ風の彼を「ストおじさん」と呼んでいた。確か観光タイムのランチ時、私の隣りが通訳だった...

聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema 予告編や本作の紹介記事などに、「凛とした女性の強さ」「前向き」といったキーワードが多く見受けられるのだが、強く違和感を感じる。本作に接して僕はそのようなワードは一切思い浮かばなかった。 ...

インテリたちの織り成す愛しきバカ騒動『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

インテリたちの織り成す愛しきバカ騒動『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

(C)2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved. 主要登場人物はみんなインテリ。 しかも自分の目指したい道筋というものがはっきりと見えている人たちだ。 主人公マギー(グレタ・ガーウィグ)は、30代で結婚のあてがなくても優秀な子どもが欲しいと、体外受精の準備を...

すがりつけ!あがけ!駆け抜けろ!『移動映画館』

すがりつけ!あがけ!駆け抜けろ!『移動映画館』

かつてインド中に存在した移動映画館。 時は過ぎ、経済発展と技術革新によって没落産業となり、現在はただマハーラーシュトラ州に48館あるに過ぎない。しかし、そこで生きる人々の生き様を描く『移動映画館』は、関わる人々のギラギラとした生き様を活写する。 短髪でガタイのいい男勝りのチャンディ姉さんと弟のバビヤは、巡礼祭に設置され...

家族、めんどくさっ!『たかが世界の終わり』

家族、めんどくさっ!『たかが世界の終わり』

(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual 売れっ子作家のルイは、死期が近いことを家族に伝えるため12年ぶりに帰郷する。 母は興奮を抑えきれず、手の込んだ料理で息子を迎える準備に余念がない。 妹は、別れた時はまだ幼くルイをよく覚えていない。ルイのことが載った記事を部屋中に貼り出したりして想...

真剣が交叉する距離感『こころに剣士を』

真剣が交叉する距離感『こころに剣士を』

(c) 2015 MAKING MOVIES/KICK FILM GmbH/ALLFILM 高校での部活はフェンシングをやろうと思っていた。 しかし新しいことに挑戦する勇気がなくて、結局中学から続けていた卓球部に入った。 何の偶然か練習場のすぐお隣がフェンシング部だったので、卓球の練習にあまり情熱を注げなかったこともあ...

つ・な・が・り・た・い『SYNCHRONIZER』

つ・な・が・り・た・い『SYNCHRONIZER』

(C)万田邦敏 一つの作品をみて様々なことを想起するのは普通であるが、こう次々と思いつくのも珍しい。興味津々で見入ってしまった。ウルトラQ、エクソシスト、キャプテン・ハーロック、ドクター・フー、ウルバリン、ふしぎなメルモ、バロムワン、山海塾などなど、「お色気」もあり、ツッコミどころは満載なのだ。この作品の「シンクロ」と...

野生への目覚め。反野生との相克『ワイルド わたしの中の獣』

野生への目覚め。反野生との相克『ワイルド わたしの中の獣』

(C)2014 Heimatfilm GmbH + Co KG ITアパレル会社で働くアニアは美人だけど地味で冴えないOL。冴えないを通り越して機械的に生きてる感じ。 上司ボリスの、人を呼びつけるときには物を投げるという、見ているだけでムカツク高慢で横柄な態度にも淡々と従っている。 ところがある朝、アニアは森で一匹のオ...

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

(C)2014 Capital Intelectual S.A. – MATANZA CINE – EL DESEO 1982年のフォークランド紛争(マルビーナス戦争)を機に軍政権が倒れ民主化へ傾くアルゼンチン。この激動の中で秘密警察の職を失ったプッチオ家の家長アルキメデスは「誘拐ビジネス」に手...

何もない場所から響く声『この世界の片隅に』

何もない場所から響く声『この世界の片隅に』

(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 「のん」。 シンプルすぎる名前だ。ほとんど人を食ったような次元で。しかし、能年玲奈という才能が今陥っている不遇を踏まえて見直すと、その印象はがらりと変わってくる。 その字面から漂ってくるのはゆるやかな「拒絶」。自分はどの領域にも属さず、決して怒鳴らず、批判せず...

避暑地にて。揺れる波紋『ほとりの朔子』

避暑地にて。揺れる波紋『ほとりの朔子』

(C)sakuko film partners 「海辺を男の子と女の子が歩いている。ただそれだけで、スクリーンが息づき満たされるような、そんな映画を作りたい ~中略~ ただ人が歩き、話し、誰かとすれ違っていく。そのすれ違った後に残された景色に、何か見る者の記憶に触れるような余韻を残せればと思う」 これは脚本が完成する前...

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