Toggle

ヒューマン

壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

壊れない壁『マイ・ビューティフル・ガーデン』

(C)This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016 本作の主人公ベラは、自分固有の秩序を守って暮らしている。 自ら作り上げた秩序に暮らす人というと、『シンプル・シモン』の主人公シモンが思い出される。 彼がアスペルガー症候群というのがあるにせよその秩序は多分に原理主義的であり、まるで要塞のよう...

世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

世界遺産発見『わたしは、ダニエル・ブレイク』

海外渡航経験は僅かだが、30代前半に1週間ほどフランクフルトへ行った。当時の職場は労働組合で上部団体主催の海外交流研修だった。相手の労組に※人生で100回目のストライキの指揮を控えている男性がおり、我々日本人の間では、真面目な頑固おやじ風の彼を「ストおじさん」と呼んでいた。確か観光タイムのランチ時、私の隣りが通訳だった...

聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

聡明な振舞いとは?『未来よ、こんにちは』

(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema 予告編や本作の紹介記事などに、「凛とした女性の強さ」「前向き」といったキーワードが多く見受けられるのだが、強く違和感を感じる。本作に接して僕はそのようなワードは一切思い浮かばなかった。 ...

インテリたちの織り成す愛しきバカ騒動『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

インテリたちの織り成す愛しきバカ騒動『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』

(C)2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved. 主要登場人物はみんなインテリ。 しかも自分の目指したい道筋というものがはっきりと見えている人たちだ。 主人公マギー(グレタ・ガーウィグ)は、30代で結婚のあてがなくても優秀な子どもが欲しいと、体外受精の準備を...

すがりつけ!あがけ!駆け抜けろ!『移動映画館』

すがりつけ!あがけ!駆け抜けろ!『移動映画館』

かつてインド中に存在した移動映画館。 時は過ぎ、経済発展と技術革新によって没落産業となり、現在はただマハーラーシュトラ州に48館あるに過ぎない。しかし、そこで生きる人々の生き様を描く『移動映画館』は、関わる人々のギラギラとした生き様を活写する。 短髪でガタイのいい男勝りのチャンディ姉さんと弟のバビヤは、巡礼祭に設置され...

家族、めんどくさっ!『たかが世界の終わり』

家族、めんどくさっ!『たかが世界の終わり』

(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual 売れっ子作家のルイは、死期が近いことを家族に伝えるため12年ぶりに帰郷する。 母は興奮を抑えきれず、手の込んだ料理で息子を迎える準備に余念がない。 妹は、別れた時はまだ幼くルイをよく覚えていない。ルイのことが載った記事を部屋中に貼り出したりして想...

真剣が交叉する距離感『こころに剣士を』

真剣が交叉する距離感『こころに剣士を』

(c) 2015 MAKING MOVIES/KICK FILM GmbH/ALLFILM 高校での部活はフェンシングをやろうと思っていた。 しかし新しいことに挑戦する勇気がなくて、結局中学から続けていた卓球部に入った。 何の偶然か練習場のすぐお隣がフェンシング部だったので、卓球の練習にあまり情熱を注げなかったこともあ...

つ・な・が・り・た・い『SYNCHRONIZER』

つ・な・が・り・た・い『SYNCHRONIZER』

(C)万田邦敏 一つの作品をみて様々なことを想起するのは普通であるが、こう次々と思いつくのも珍しい。興味津々で見入ってしまった。ウルトラQ、エクソシスト、キャプテン・ハーロック、ドクター・フー、ウルバリン、ふしぎなメルモ、バロムワン、山海塾などなど、「お色気」もあり、ツッコミどころは満載なのだ。この作品の「シンクロ」と...

野生への目覚め。反野生との相克『ワイルド わたしの中の獣』

野生への目覚め。反野生との相克『ワイルド わたしの中の獣』

(C)2014 Heimatfilm GmbH + Co KG ITアパレル会社で働くアニアは美人だけど地味で冴えないOL。冴えないを通り越して機械的に生きてる感じ。 上司ボリスの、人を呼びつけるときには物を投げるという、見ているだけでムカツク高慢で横柄な態度にも淡々と従っている。 ところがある朝、アニアは森で一匹のオ...

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

いろいろ嫌だがそれが人間というものかも『エル・クラン』

(C)2014 Capital Intelectual S.A. – MATANZA CINE – EL DESEO 1982年のフォークランド紛争(マルビーナス戦争)を機に軍政権が倒れ民主化へ傾くアルゼンチン。この激動の中で秘密警察の職を失ったプッチオ家の家長アルキメデスは「誘拐ビジネス」に手...

何もない場所から響く声『この世界の片隅に』

何もない場所から響く声『この世界の片隅に』

(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会 「のん」。 シンプルすぎる名前だ。ほとんど人を食ったような次元で。しかし、能年玲奈という才能が今陥っている不遇を踏まえて見直すと、その印象はがらりと変わってくる。 その字面から漂ってくるのはゆるやかな「拒絶」。自分はどの領域にも属さず、決して怒鳴らず、批判せず...

避暑地にて。揺れる波紋『ほとりの朔子』

避暑地にて。揺れる波紋『ほとりの朔子』

(C)sakuko film partners 「海辺を男の子と女の子が歩いている。ただそれだけで、スクリーンが息づき満たされるような、そんな映画を作りたい ~中略~ ただ人が歩き、話し、誰かとすれ違っていく。そのすれ違った後に残された景色に、何か見る者の記憶に触れるような余韻を残せればと思う」 これは脚本が完成する前...

横移動カメラ。ガラス窓。時間『誰のせいでもない』

横移動カメラ。ガラス窓。時間『誰のせいでもない』

C)2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED. 2度観た。 1回目は爆睡してしまったから。 ふつう爆睡しても(僕は割とよく爆睡する)2度劇場に足...

“わからない”の魅力『永い言い訳』

“わからない”の魅力『永い言い訳』

(C)2016「永い言い訳」製作委員会 オープニング。美容師の妻(深津絵里)に髪を切ってもらっている小説家(本木雅弘)。 衣笠幸夫という本名から、鉄人(鉄人の方は「祥雄」だが)を引き合い出されるのは嫌だから“さちお”って呼ぶな、とか、鵺について熱く語っててバカみたいだからTV消せ(人気イケメン作家だからTVにも出演して...

全身全霊を傾けて生きる人間を受け止めよ『ニーゼと光のアトリエ』

全身全霊を傾けて生きる人間を受け止めよ『ニーゼと光のアトリエ』

(C)TvZero 分厚い鉄の扉をノックする中年の女性。 「ドン・ドン」 扉は開かない。 ちょっと強めに 「ドン・ドン・ドン」 やはり開かない。 何度かそんなノックが繰り返された後 「ドン!・ドン!・ドン!・ドン!・ドン!・ドン!」 ようやく扉が開かれる。 扉の向こうに何があるのか? 不安感を煽られつつ一気に引き込まれ...

なんじゃそりゃ!?がなぜか腑に落ちる不思議『あなた自身とあなたのこと』

なんじゃそりゃ!?がなぜか腑に落ちる不思議『あなた自身とあなたのこと』

© 2015 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved. 酒を酌み交わしながらどうでもいいことをえんえん語り合う2人ないし3人、というどう考えてもおもしろくない画の連なりがおもしろくってしかたないのだから、もはやマジックとしか言いようがない。映画の奥深さにただただ驚嘆の86分だ。 そ...

Return Top