トランシネマが仙台で開催する、第2回目の上映会の日が近づいてきました! 今回は、上映会の開催と「トランシネマWEB」の開設をダブルで記念して、上映会で上映する「シンプル・シモン」をレビュアー全員で合評しました。 レビュアーによるさまざまな視点によって「シンプル・シモン」の魅力があらゆる角度から語られています。 どうぞ楽…
©2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 私は、50歳を前にして未だに「死」が怖い。 誰しも、子供の頃に初めて「死の概念」を知って恐怖におののいた経験があると思う。しかしいずれその恐怖と折り合いをつけていくか、もしくは単に忘れていく。それが普通の大人だ。そういう意味で私は大人になりきれていな…
(C)1986 Taryn Productions, Inc. All Rights Reserved. (C)2013 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. 今はなき“東京国際ファンタスティック映画祭”参加作品という輝かしい……ってただ参加しただけ…
これはちょっとした掘り出し物だ。 『ババドック』が成功している最大の要因はキャスティング。子育てに疲弊し、徐々に精神を病んでいくシングルマザー、アメリア役のエシー・デイヴィスと、多動症気味な息子のサミュエルを演じたノア・ワイズマンの壮絶な“顔芸”の応酬がなければ、ここまで恐ろしく、厭な後味の残る作品には昇華しえなかった…
『夕暮れにベルが鳴る』なんていう同じ都市伝説をモチーフにしたサスペンス映画もあったが、こちらでベルが鳴るのは暗闇。まあ、ホラー映画では結構色んな時間帯にベルが鳴るので、黒電話を据えつけてあるご家庭はなんどきも油断できない。 今回暗闇でリンリン鳴る電話を取るのは、かの名作『ロミオとジュリエット』で世の男性たちを骨抜きにし…
クリント・イーストウッド3本目の監督作。 初めて監督に専念した作品でもあります。 イーストウッドというと「男らしい」とか「社会的メッセージ」とかを連想される方もあるかもしれませんが、本作は恋愛を真正面から描いた、フィルモグラフィーの中では異色作ではありつつ、イーストウッドの繊細な演出が存分に楽しめる良作です。 裕福な中…
ああ!君!私だよ。 いやぁ、久しぶりだ。奇遇だな。 これからこの映画を見るのかい? 私?私は今見たところさ。 どうだったって?うーん、そうだな、退屈だったよ。 顔色の悪い陰気な二人組が出てくるんだ。 まぁ、時々クスリと笑えるとこもあったけどね。 そうそう、バーの常連がウチのじーさんにソックリでね、あそこは腹がよじれたな…
画像出典元:http://www.allcinema.net/prog/image_large.php?i=348891&t 沈黙を戒律とする修道院がある。 それがグランド・シャルトルーズ修道院である。 修道士は、沈黙のまま仕事をする。 畑を耕し、薪を割って、食材を刻み、床を掃く。 時間になれば、祈りを捧げる。…
ホラー映画界の巨匠ウェス・クレイブンがこの世を去った。 あくまでも私見だが、ウェス・クレイブン(なぜかこの人はフルネームで呼ばないと居心地が悪い、ウェスさんでもクレイブン氏でもなく)という人は、恐怖が内包するどす黒いエンタテイメント性、いわゆる“怖いモノ見たさ”という人間心理を体系的にマネタイズすることに成功した最初の…
それまで一度も食べたことがないものを、外見や先入観から「まずい」と決めつけ、決して口にしないことを“食わず嫌い”と言うが、映画においても、特にホラーというジャンルはこの食わず嫌いの犠牲になる確率が抜きん出て高い(はず)。 一体何本のお勧め映画が、ただただ「ホラーだから」という理由だけでアウトオブ眼中の憂き目に遭ってきた…
アイデア。 日々星の数ほどのアイデアが世界中で生み出され、カタチになることなく思考の深淵へと消えてゆく。多くのアイデアは当人にとって「最高!」のものである一方、それらが客観的に認められることは稀であり、アイデアが斬新であればあるほどそうした傾向は強くなる。 『ザ・シャウト』もまた、「叫びで人を殺せる」というよく言えば野…
俺には愛する妻子がいる、だから絶対に負けないぜ。 世界の危機に立ち向かう、人間様をなめるなよ。 確かに俺には弓しかないし、からだもそんなにデカくはない。 他と比べたら見劣りするけど、やるときゃやるぜ、やってやる。 狙った獲物は絶対しとめる、それが俺様のプライドだ。 「1」ではいきなり洗脳されて、脚本に文句…
(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会 古びた木造アパートの、狭いトイレの一室で、壁に画を描く主人公。ひたすらハケを振りまわす。塗料を何度も塗っていく。右へ左へ天井へ。既に塗られたところにも、重ねて重ねて塗っていく。そんな作業を見ていると、何故だか感動してしまう。大げさでいて、恥ずかしく、突拍子もない考えだけど、ま…
「脱獄映画は名作ばかりだ」―私が尊敬してやまないK先輩のお言葉である。確かに、『抵抗』、『大脱走』、『暴力脱獄』…、どれも素晴らしい。ただ、そんな中、脱獄という行為自体の緊張感、その過程の困難さ、そして人間のしたたかなすがたを克明に記した映画は、今作をおいて他にないのではなかろうか? ジャック・ベッケル監督の遺作。『穴…
画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film08 『ヴィオレット』の主人公は、己のことを「醜い女」といって忌み嫌う。誰からも愛されない。必要とされない。それは自分が醜いから。激しい孤独の中、ひとり苦悩を続けていくすがたが印象的だった。 されど、私は彼女が一人ぼっち…
画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film02 近所から「多国籍家族」と揶揄さている主人公一家。主な登場人物は、フランス人夫妻。その長女とアラブ人の夫。次女とユダヤ人の夫。三女と中国人の夫。確かにそこには、多様な民族が混在している。 「俺は差別主義者ではない」と…