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サスペンス

シャマラニズムの神髄に触れる『サイン』

シャマラニズムの神髄に触れる『サイン』

「シャマランには何度も裏切られた」と恨みごとをつぶやく映画ファンは多い。

気持ちはよく分かる。シャマランにとって最大の不幸は『シックス・センス』でデビューし、図らずもハリウッドという高峰を制してしまったことだろう。

かくして“どんでん返し職人”の重い十字架を背負わされたシャマランは、新作を発表するごとに“シックス・センスを超える衝撃”を期待され、そのつどイチローも真っ青の高打率でファンを呆れさせ、ヒッチコックの再来を信じる者たちの支持を失っていった。

ウィル・スミス原案・製作による究極の親バカ映画『アフターアース』のプロモーションでは、ついに監督がシャマランであるという事実すら伏せられる異常事態に。最新作『ヴィジット』に至っては“今度こそ信じてください!”という自虐的な惹句が踊り、もはや業界内でも「狼が来たぞ!」的な扱い方をされていて笑える…じゃなくて悲しい。

が、シャマラン自信も語っているように、彼がやりたかったのは「B級のネタでA級の映画を撮る」ことであり、『シックス・センス』はそうしたシャマラ二ズムの頂点ではなくプロトタイプにすぎない。それが証拠に二作目の『アンブレイカブル』以降、B級の部分はよりB級らしく、A級の部分はよりA級らしく“深化”していったのだが、残念ながら『シックス・センス』がシャマランの完成形だと捉える向きにはこれが“退化”と映ったらしい。

そんなシャマラニズムの第一の到達点と言える逸品が『サイン』である。

「シャマランに裏切られた」と思っている諸氏は今一度『サイン』を観て、この出たがりインド系アメリカ人監督が目指している地表を再確認すべきだろう。原点回帰と謳われる『ヴィジット』で一度ギアを落としたシャマランが、再び助走をつけ、“超B級なのに超A級の感動を与える奇跡の作品”を生み出すその瞬間に備えて。

『サイン』
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス
製作年:2002年
製作国:アメリカ
上映時間:107分

画像権利元:(C)Buena Vista Home Entertainment, Inc.

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とら猫 aka BadCats
メジャー系からマイナー系まで幅広いジャンルの映画をこよなく愛する、猫。本サイトでは特にホラー映画の地位向上を旗印に、ニンゲンとの長い共存生活の末にマスターした秘技・肉球タイピングを駆使してレビューをしたためる。商業主義の荒波に斜め後ろから立ち向かう、草の根系インディー映画レーベル“BadCats”(第一弾『私はゴースト』)主宰。twitter@badcatsmovie
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