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「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2016年ベスト10

「とら猫 aka BadCats」が選ぶ2016年ベスト10

2016年にもっとも感動したのは飛鳥の新曲…ではなく、ここは映画の話をする場でしたね。2016年にも数々の素晴らしい作品との出会いがあり、そして年々ひどくなる記憶力の低下によって流れるように忘れていきましたが、今の我々にはツイッターという強力な武器があります。そこへの投稿を遡って見直しながら、脳裏に鮮やかによみがえった2016年の映画たちをつらつら挙げていきます。

第10位『無垢の祈り』
(監督:李相日)

過去を通じても五指に入る「もっともダウナーな映画」。メンタルの弱い人、疲れている人、モラルに厳しい人は見ちゃダメ。客層に女性が多かったのが印象的だった。

第9位『ロストバケーション』
(監督:ジャウム・コレット=セラ)

かの名作『ジョーズ』以来、久しぶりに現れた硬派な「サメ映画」。ビキニ娘と人食いザメの双方知恵を絞ったタイマンバトルが全編にわたって展開する。惜しむらくは邦題がダサすぎ(原題は「The Shallow(浅瀬)」)。

第8位『エクスマキナ』
(監督:アレックス・ガーランド )

鑑賞後はさほど印象に残らなかったが、あらためて振り返ってみると、あのロボットの美しい造形は忘れがたい。見所はその一点だけかもしれないが、それで十分じゃないですか。

第7位『ロブスター』
(監督:ヨルゴス・ランティモス)

ひたすらシュールなブラックジョークの連続。最初の10分で笑える人は最後まで笑えるはず。合わない人は何年たっても合わない映画。

第6位『シン・ゴジラ』
(監督:庵野秀明)

怒涛の肩書テロップの応酬がゴジラよりも破壊力あった。天才監督に好き放題やらせてみる方針が功を奏し、どこを切っても恐るべき濃密度の情熱、皮肉、思想があふれ出す超怪作に仕上がったレアケース。これを「ゴジラ」というIPでやってしまった度胸に拍手。

第5位『ロアー』
(監督:ノエル・マーシャル)

何十頭もの本物のライオンを使って撮影した、伝説のカルト映画。撮影監督はなんと『スピード』のヤン・デ・ボン。当初の劇場公開時は「ファミリー映画」と銘打って大コケし、2016年に期間限定でリバイバル上映された。カオスな空気が充満する究極のリアル動物アドベンチャー大作。乞う、一般公開。

第4位『ルーム』
(監督:レニー・アブラハムソン)

今年度上半期ベスト5でも取り上げた本作が、通年でもランクイン。監禁部屋から解放されたあとに広がる空の青さが印象的。誘拐事件の「その後」までを描いた、ありそうでなかったヒューマンサスペンス。

第3位『グリーン・インフェルノ』
(監督:イーライ・ロス)

ホラー界の寵児イーライ・ロスが久しぶりに本腰を入れて取り組んだ、人食い族の豪華なディナーの様子を「ご近所感覚」で活写するサバイバルホラー。腹が減ったら食うという人間の本能だけをひたすら描く、アマゾン版「孤独(じゃないけど)のグルメ」。音で脅かす演出に食傷気味のホラー界隈の中では、群を抜いて面白かった一本。たぶん一番笑ったかも。

第2位『この世界の片隅に』
(監督:片渕須直)

本作を客観的に語ることがほとんど不可能なのは当然かも。いくら時代が下ろうとも、我々はかつて原爆が落とされた国に住んでいる当事者なのだから。「観る」というか、細胞に「刻んでおきたい」作品。のん最高。あちゃー。

第1位『怒り』
(監督:李相日)

キャスト、脚本、演出、どれをとっても一級品のダークなエンタテイメント。絶望的で重苦しいストーリーが展開する中、かすかな希望がきらりと光るラストが秀逸。胸にずしんと響き渡る。エンドロールではしばらく椅子から動けなかった。

次点:コップカー(ベーコンの鍵開け最高)、クリーピー(香川さんの変態演技)、マジカルガール(なんか残る)、ローグワン(ディズニー流戦争映画)、64(中村トオルっていつも同じ役だな)

(C)2016 映画「怒り」製作委員会

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とら猫 aka BadCats
メジャー系からマイナー系まで幅広いジャンルの映画をこよなく愛する、猫。本サイトでは特にホラー映画の地位向上を旗印に、ニンゲンとの長い共存生活の末にマスターした秘技・肉球タイピングを駆使してレビューをしたためる。商業主義の荒波に斜め後ろから立ち向かう、草の根系インディー映画レーベル“BadCats”(第一弾『私はゴースト』)主宰。twitter@badcatsmovie
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