
お約束。
その魅力は何と言っても、期待を裏切らないことにある。
ホラー界隈の作品はピンからキリまでの幅がとてつもなく広く、期待を激しく裏切られることもしばしば。
もちろんその辺は織り込み済みで、平時なら例えばトレーラー詐欺みたいな駄作に引っかかっても、左手で猫を撫でながらヘラヘラ笑い飛ばせるが、これが例えば昼間、小銭が1円足りなくて、コンビニの店員にドブネズミを見るような目で見られたとかして気分はどん底、触るもの皆傷つけたいような気分になっている夜には、やはりその鬱を確実に吹っ飛ばしてくれる一本じゃなければ困ったりするわけだ。
『ハロウ』はその点、極めて精度の高い一本。
使い古されてはいるが、期待どおり効果をもたらす恐怖演出によって堅実に怖がらせてくれ、期待どおりのカタルシスを味わわせてくれる、マンネリホラーの亀鑑ともいうべき良作である。
ホラーとして目新しい点は特にない。過去の名作ホラーへのオマージュといえば聞こえはいいが、既視感をおぼえるシーンも多い。が、だからと言って怖くない、魅力がないとは限らない。似たようなシーンでも、まったく同じ切り口ということはまずありえず、そこには監督独自のセンスや思いが込められているのだが、テンプレートがあるから簡単だろうと思いきや、凡庸な監督がこれをやると、単なるパクリとみなされて墓穴を掘ることになる。
先人を模倣するということは、比べられるものがあるぶん、格差が際立つ。ややもすると、己の未熟さを露呈するだけで終わる。
『ハロウ』の監督は、パクリであることを自覚しつつ、先人たちへの敬意を込めながら、余裕をもって本作を撮影しているような節が見える。そういった中、不気味な森を美しく見せる陰影表現によって自分だけのオリジナリティも盛り込んでくる辺り、映画偏差値の高さを感じさせる。
リメイク版クロウの監督に抜擢されたらしいが、確かにそれだけの力量を感じさせる一本だ。
『ザ・ハロウ/侵蝕』
監督:コリン・ハーディ
出演:ジョゼフ・マウル
製作国:イギリス
製作年:2015年
上映時間:97分
画像権利元:Occupant Entertainment, Hyperion Media Group


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