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ドキュメンタリー

生まれてきた意味『かみさまとのやくそく~胎内記憶を語る子どもたち~』

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(C) 2013 copyright 荻久保則男

あなたの最初の記憶はなんだろうか。

多くの人の1番古い記憶は、3歳前後の記憶である。
発達心理学の研究では、3歳くらいまでは、本当に短い時間の記憶しか保持できないとされており、それがそれまでの出来事を思い出せない理由とされてきた。

科学的に証明できないものにぶつかると、何故だかとっさに批判をしたくなる。
それが平穏な日常を脅かすことへの不安なのか、自分が信じている世界を揺るがすものへの恐れなのかはわからないが、嘘だ、やらせだという批判が浮かんでくる。

しかも、この映画では、胎内に宿る前の記憶や、前世の記憶にまで言及する。

心理学を学んできた私にも、人の意識や発達は謎である。
色々な研究が日進月歩の現在でも、宇宙も生命も謎なことばかりである。
それなのに、猜疑心は浮かび上がる。

果たしてこの映画は、それとどう向き合うのか。そこにも興味はあった。

結論から言うと、『かみさまとのやくそく』において、胎内記憶が本当か嘘かという些末な議論は主題ではない。
ハッキリ言えば、どっちでもいい。
どっちだって構わないのだ。

大事なのは、もっと原始的で、本質的なこと。
愛としか言いようのないもの。

子どもたちは口々に言う。目的を持って生まれてきたと。
その目的は、純粋で喜びに満ちている。

余談だが、子どもたちへのインタビューで、監督が本当に驚いたり、純粋に疑問を投げかけているニュートラルな姿勢が、とても良かった。
何かを確かめようとしてカメラを回していたら、子どもたちはこんなに生き生きとは語ってくれなかっただろう。

この映画には、得体の知れない怪しいメッセージなど何もない。
むしろ、今まで私たちが見過ごしてきたものに気づかされる、そんな映画である。

安心して見てほしい。

『かみさまとのやくそく~胎内記憶を語る子どもたち~』

監督:荻久保則男
出演:池川明,南山みどり 他
製作年:2013年
製作国:日本
上映時間:114分

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昭和モダ子
昭和モダ子
基本スタイルは、映画鑑賞=人間観察。人間の機微を描く映画が好きです。漫画、小説、音楽のことなんかも、映画とミックスしてお届けできたらと思っております。邦画とドキュメンタリーが頻繁に登場しますが、どうぞお付き合いくださいませね。
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