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誰かのためにあり続ける『トイ・ストーリー3』

誰かのためにあり続ける『トイ・ストーリー3』

人から「好きな映画は?」と聞かれたとき、私は『自転車泥棒』と答えるようにしている。とはいえ、それも時と場合、相手による。なまじ白黒の旧作映画を挙げてしまうと、「何こいつ。映画通ぶりやがって」と思われてしまう。白けさせてしまう恐れがある。だから相手によって、「『トイ・ストーリー3』が大好きです!」と言うようなときもある。これならたいてい、賛同してもらえる。けれども、これは決して嘘偽りからでた言葉なんかではない。本心から、『トイ・ストーリー3』が大好きなのである。
初めて『トイ・ストーリー』を観てすごいと思ったところは―3D技術はもちろんのこと―、そのストーリー性であった。当時の寓話のほとんどが「夢を叶える」「生まれ変わる」物語であったのに対して、今作の主人公(おもちゃ)の望みは初めから最後まで「持ち主(アンディ)のためにあり続ける」というものだった。
『トイ・ストーリー2』では持ち主とおもちゃとの絆に加えて、おもちゃ同士の熱い友情が盛り込まれてくる。さらわれた仲間を救出し、アンディの元へと帰っていくおもちゃたち。みんなでアンディの成長を見守りたい。一緒にもっと遊びたい。彼らの幸せとは、いつだってアンディのそばに居続けることだったのである。
ところが、『トイ・ストーリー3』ではそうも言ってはいられない。大人になってしまったアンディ。おもちゃたちはもう、今のままの幸せを続けることができなくなってしまう。だから彼らは、決断をする。行動をする。あんなにまで幸せだった日々の終わり。大切な人との別れ。そして、新たな幸せへの旅立ち。
第一作目の制作から早15年。アンディとおもちゃたちの深い絆。お互い笑顔でお別れをするラストシーンに、ぐっときてしまうのである。

『トイ・ストーリー3』
監督:リー・アンクリッチ
声の出演:トム・ハンクス、ティム・アレン
製作:2010年
製作国:アメリカ
上映時間:103分

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大久保 渉
大久保 渉
ライター・編集者・映画宣伝。フリーで色々。執筆・編集「映画芸術」「ことばの映画館」「neoneo」「FILMAGA」ほか。東京ろう映画祭スタッフほか。邦画とインド映画を応援中。でも米も仏も何でも好き。BLANKEY JET CITYの『水色』が好き。桃と味噌汁が好き。
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