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ラブストーリー

なんじゃそりゃ!?がなぜか腑に落ちる不思議『あなた自身とあなたのこと』

なんじゃそりゃ!?がなぜか腑に落ちる不思議『あなた自身とあなたのこと』

© 2015 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved. 酒を酌み交わしながらどうでもいいことをえんえん語り合う2人ないし3人、というどう考えてもおもしろくない画の連なりがおもしろくってしかたないのだから、もはやマジックとしか言いようがない。映画の奥深さにただただ驚嘆の86分だ。 そ...

一番持ちたくない能力『PK』

一番持ちたくない能力『PK』

(C)RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED 風変りで耳に特徴があり、疑問は訊きただし、かつ論理的とこれば、スタートレックのバルカン人スポックだ。この主役に何を投影するのだろうか。言動や立ち居振舞いからすると同じスタートレックシリーズ「ネクストジェネレーション」のアンドロイド、データ...

ちょっと泣きそうでした(感動で)『高慢と偏見とゾンビ』

ちょっと泣きそうでした(感動で)『高慢と偏見とゾンビ』

(C)2016 PPZ Holdings, LLC いやもう絶対観ないタイプの映画と思ってた。タイトルに”ゾンビ”ってついてる時点で怖いでしょ。ゾンビ映画大嫌いだから。確かに、”高慢と偏見”は気になる。小説は未読だけど有名だからきっと面白いと思う。でもやっぱりゾンビ怖いし、B級っぽいからわざわざ映画館で観ることもないで...

東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

東京の風景から遠く離れて『オーバー・フェンス』

(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会 函館三部作の大トリということで舞台はもちろん函館。 僕のイメージする函館という地を感じさせる記号は坂やカモメに表れてはいたものの、主たる舞台は職業訓練校・キャバクラ・安アパート・動物園など、およそ映画的に豊かなイメージを喚起するとは思えない場で、しかし映画としたいいようが...

映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

映画のマジックで居場所探し『ミッドナイト・イン・パリ』

自分は生まれ落ちる時代を間違えた、と過去に思いを馳せている人は案外多いのではないだろうか? 「独眼竜政宗(1987年放送)」で渡辺謙演ずる伊達政宗も「あと10年早く生まれていれば秀吉でなく自分が天下をとれたのに!」と歯軋りして悔しがっていて、仙台出身の僕もテレビを観ながら一緒に嘆いたものだ。 『ミッドナイト・イン・パリ...

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

教科書では学べない人生の妙味『教授のおかしな妄想殺人』

Photo by Sabrina Lantos (c)2015 GRAVIER PRODUCTIONS, INC. 人生に絶望した哲学教授。 色男ホアキン・フェニックスがお腹ぽっこり(役作りだろうか?だとしたら大したものだ)で演じており、「もうボク体型なんてどうでもいーんだよねー」感がよく出ている。実際教授は大学構内で...

自立した個が対峙する感動『キャロル』

自立した個が対峙する感動『キャロル』

人と対峙…しないよなぁ。自分。 人と向き合うことを避けて48年間生きて来ました。 しかしそのことを自分で自覚しているがゆえに、対峙する人間の神々しさをスクリーンに見て滂沱の涙を流すという比類なき感動を味わうことができたのかもしれない。 冒頭、カメラは長回しで本筋とは関係ない男を追う。 やがてリッツのラウンジに入った男の...

イジワルな哲学『石の微笑』

イジワルな哲学『石の微笑』

主人公フィリップ(ブノワ・マジメル)は真面目を絵に描いたような好青年。 家庭内の瑣末ないざこざを諌めたり、母に対して不誠実な母の恋人に苛立ったりとなんだか気が休まらないけど、小さなリフォーム会社の営業マンとして気忙しいながらもマジメに働いている。 パっとしないがごく普通の生活を維持している。 しかし一方フィリップは、亡...

「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

「愛してる」を言いたくて『モーツァルトとクジラ』

© movpins 題名である『モーツァルトとクジラ』とは、ハロウィンで仮装をした主人公ドナルド(ジョシュ・ハートネット)とイザベル(ラダ・ミッチェル)のことを表す。 「いつだって僕はパレードの傍観者なんだよ」 ハロウィンの夜。煌びやかに打ちあがる花火や、手をつなぐ恋人たち。そのような風景を背に、俯きながら主人公のドナ...

トランシネマ第2回上映会記念『シンプル・シモン』合評

トランシネマ第2回上映会記念『シンプル・シモン』合評

トランシネマが仙台で開催する、第2回目の上映会の日が近づいてきました! 今回は、上映会の開催と「トランシネマWEB」の開設をダブルで記念して、上映会で上映する「シンプル・シモン」をレビュアー全員で合評しました。 レビュアーによるさまざまな視点によって「シンプル・シモン」の魅力があらゆる角度から語られています。 どうぞ楽...

死から照射される生の喜び。『岸辺の旅』

死から照射される生の喜び。『岸辺の旅』

©2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 私は、50歳を前にして未だに「死」が怖い。 誰しも、子供の頃に初めて「死の概念」を知って恐怖におののいた経験があると思う。しかしいずれその恐怖と折り合いをつけていくか、もしくは単に忘れていく。それが普通の大人だ。そういう意味で私は大人になりきれていな...

愛のそよ風を恥ずかしがらずに感じよう『愛のそよ風』

愛のそよ風を恥ずかしがらずに感じよう『愛のそよ風』

クリント・イーストウッド3本目の監督作。 初めて監督に専念した作品でもあります。 イーストウッドというと「男らしい」とか「社会的メッセージ」とかを連想される方もあるかもしれませんが、本作は恋愛を真正面から描いた、フィルモグラフィーの中では異色作ではありつつ、イーストウッドの繊細な演出が存分に楽しめる良作です。 裕福な中...

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

我が麗しのフランス映画『たそがれの女心』

画像出典元:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film12 一緒に見た知人が、「最後に登場人物が生きるか、死ぬか」という点を挙げて感想を語っていたことがずっとひっかかっていた。その感想は、自分にとっては何かが違う。少なくとも、あのエンディングにはもっと異なる感動があったはず...

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