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パリ。
道端でバゲットをくちゃくちゃ食べている貧乏ったらしい男のクローズアップから映画が始まる。男はドキュメンタリー映画作家の夫ピエール。
妻マノンは「東洋語学校」にも通っていたが現在は辞めていて、給食のパートをしながらピエールをサポートしている。ところがピエールは、さして美人ではないがボリュームのある体格からはちきれんばかりの若さが溢れ出ている映画研修生のエリザべットと出会い、恋におちる(…て書いてる自分のスケベな視線に直面してめちゃめちゃ恥ずかしいが)。
さっそくピエールはエリザベットの狭いアパルトマンに上がり込みむのだが、開口一番、「言っとくが、妻がいる」と切り出す。エリザベットも「だと思ってた」と応じる。双方合意のもとの共犯が成立するかに見えたが、次第にエリザベットの方が前のめりになっていく。面倒臭くなったピエールは、付き合い始めるに当たって結婚していることを最初に言ってあなたの「同意」をとりつけておいたのだから「いまさらわがまま言うな」と強弁する。貧乏臭い割に立ち廻りはうまい。なかなかの恋愛巧者ぶりとも言えるが、要は単に身勝手なのだ。
一方、夫にベタ惚れでかいがいしく尽くしているかに見えたマノンも浮気をしていたことが判明する。
ピエールは妻を許せない。「浮気は男だけのもの、女の浮気は深刻で有害だ」という信条(?)を持っているからだ。とことん身勝手なピエール。
で、結局ふたりは別れてしまう。で、またくっつく。
そういうお話。
本作は、浮気をする男女のどちらが良い/悪いという視座には立たない。
女が浮気したからといって、男の身勝手は許されも罰せられもしない。
惚れた、腫れた、ウザくなった、嫌いになった、許せない、やっぱ忘れられない…ただひたすら恋愛の面倒臭い「状態」を描くのが本作の流儀だ。
要は「ぐだぐだ」だ。恋愛ってのはこういう「ぐだぐだ」こそが本質なのかもしれない。まあ、貧相な恋愛体験しかない僕には「恋愛はよくわかりません」としか言えないし、実際にそういう状況に身を置いて楽しかったり幸福だったりするかどうかもわからない。
ただ、映画はあくまでも映画だ。
面倒臭い男女のやりとり(だけ)をひたすら見せられる『パリ、恋人たちの影』が実におもしろいのは確かである。
『パリ、恋人たちの影』
監督:フィリップ・ガレル
出演: クロチルド・クロ(マノン)、スタニスラス・メラール(ピエール)、レナ・ポーガム(エリザベット)
製作年:2015年
製作国:フランス
上映時間:73分


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