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仙台に未来の映画館を創る『館長日記』と『シネマレビュー』

SF

つ・な・が・り・た・い『SYNCHRONIZER』

(C)万田邦敏
一つの作品をみて様々なことを想起するのは普通であるが、こう次々と思いつくのも珍しい。興味津々で見入ってしまった。ウルトラQ、エクソシスト、キャプテン・ハーロック、ドクター・フー、ウルバリン、ふしぎなメルモ、バロムワン、山海塾などなど、「お色気」もあり、ツッコミどころは満載なのだ。この作品の「シンクロ」とは脳波の波長が同期することだが、なんとまずはネズミとヒトを繋げて実験する!リアルミッキーマウスでも作りたいのか。続いて人間同士でも行う。このデジタルな時代に超単純なアナログな装置だ。自ら被験者になる様子はまさにマッドサイエンティストの1年生である。後にシンクロすることで生じる現象と変化も発覚するが、これがほんとうなら「スタップ細胞」どころの発見ではなく、まず「Xmen」のエグゼビア教授とコンタクトを取った方が良い、この結果の費用対効果に驚くだろう。主題は本人と彼女と母親の人間模様である。痴呆になって年老いた親に元の姿に戻って貰いたいのは至極自然な感情だが、いかにもやり過ぎである。彼女は糟糠の妻のように甲斐甲斐しく、母性で見守るタイプだ。ただ、常に引け目を感じているが、男と共倒れはしない冷静さとしたたかさ持ち合わせている。
 
 と、ここまではツッコミばかりだが、あのアナログな装置で繋がって、同じように手を振り上げる場面を見るだけで、シンクロしてるんだよねと思わせてしまうこの感覚はどこから来ているのか不思議だ。人は誰かと繋がりたいという欲求を持っているからか。それは人間関係が疎遠になっているとか言われる今の時代だからではなく、根本的欲求なのだ。「細い声をのせた電話線は 夢中で空をかけてゆくの」は矢野顕子の「電話線」(1976)、「あんたの胸の扉から あたしの胸の扉まで 真直な線を引いてみて それがただ一つの願い」とは中島みゆきの「真直な線」(1976)、「受話器を耳に眠り込んでた 少女へと戻りたい」は薬師丸ひろ子の「あなたをもっと知りたくて」(1985)など愛する人とならなおさらのことなのである。普通は深い関係にあってもお互いの外見上は何もわからない。しかしあの仕掛けのつながる姿で端的に表現されている。子供の頃ほとんどの人が一度は試している糸電話に近いものがあるのか、人間の根源的欲求がシンプルに映されているのだ、それがなれの果ての姿であっても。

『SYNCHRONIZER』
監督:万田邦俊
出演:万田祐介、宮本なつ、古川博巳、中原翔子、大塚怜央奈、美谷和枝
製作年:2015年
製作国:日本
上映時間:83分

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1966年生名古屋出身、東京在住。会社員。業界での就業経験なし。映画好きが高じてNCWディストリビューター(配給・宣伝)コース、上映者養成講座、シネマ・キャンプ、UPLINK「未来の映画館をつくるワークショップ」等受講。現在はUPLINK配給サポートワークショップを受講中。映画館を作りたいという野望あり。

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