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仙台に未来の映画館を創る『館長日記』と『シネマレビュー』

サスペンス

不穏と不安が芸術に昇華した奇跡の傑作『恐怖分子』

僕はこの作品を、2015年4月4日に渋谷のイメージフォーラムで観ました。土曜の16時に足を運びましたので多少の混雑は予想してましたが、何と会場は満席!このような企画に人が集まるという状況にまずは拍手です。

冒頭のショットを観るなり、とんでもない傑作に出会ってしまったことを確信しました。こういった確信は九分九厘当たります。

果たして、冒頭以降も驚くほど緊張感に満ちた渾身のショットが続きます。いきおい、1シーンたりとも見逃すものか!と身を乗り出して観ることになります。もちろん映画はそれにしっかり応えてくれます。映画とこのような緊張関係を切り結べる体験はそうそうあるものではありません。久しぶりに「この映画を観ている時間が永遠に終わらなければいいのに」という思いにかられました。

話の内容は決して心地いいものではありません。この映画から立ち上がってくる空気は終始不穏であり、不安に満ちています。そして、あるキッカケを境にポンっとよからぬ事件が引き起こされます。まさにこの世は恐怖の素に満ち満ちている、という空気感を見事に表現しており、「恐怖分子」とはつくづくよくできたタイトルだな~と感心いたします。

エドワード・ヤンは2007年に59歳の若さで惜しくも他界しました。彼の決して多くないフィルモグラフィーは恐らく権利の問題からか、現在のところ上映される機会はありません。そういうわけで今回の上映はいわば「事件」であり、映画好きなら絶対に駆けつけなければいけないイヴェントなのでした。

これを機にDVDも発売されました。彼の他の作品でDVDで見れるのは「ヤンヤン 夏の思い出」くらいです。他は中古品で結構高いです。

というわけで、この作品が新品のDVDで出ているうちにぜひ観てください。もちろん、映画館でかかる機会があったら絶対に見逃しなく!

『恐怖分子』
監督:エドワード・ヤン
出演:コラ・ミャオ
製作年:1986年
製作国:香港/台湾
上映時間:109分

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館長
館長
仙台で映画館を開業して、生まれ故郷の発展に貢献したいと思っている49歳です。 49年間、経済的にも精神的にも映画に救われ続けてきたという思いがあります。 ミニシアターを作ることで、ささやかながら映画に恩返ししたいと思っています…といっても何か秘策があるわけではまるでなし。 今できることは、とにかく思いを発信し続けていくだけです!

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