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2020年、旧作ベスト

2020年、旧作ベスト

あけましておめでとうございます。
2020年は緊急事態宣言に伴い劇場が約2ヶ月間休業しました。再開後も新作の配給がなかなか追い着いて来なかった時期もあったため、図らずも旧作をけっこう観ることになりましたが、これが数々の幸福な映画との出会いをもたらしてくれました。というわけで、

2020年、映画館で観た旧作ベスト5本

順位はつけませんが、並び順になんとなく筆者の思いが出ているかも…

『小間使』
(エルンスト・ルビッチ)1946年:アメリカ
流麗なカメラワークと粋なセリフの応酬にうっとり。英国人の旧態依然とした因襲に拘っているがゆえの気取り具合を描く様が容赦ない。それゆえに主人公カップルが体現する自由な様が爽快で感動的です。
※シネマヴェーラにて鑑賞

『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』
(神代辰巳)1980年:日本
筋がさっぱりわからないのにぐいぐい惹きつけられる混沌パワーの源が謎すぎます。原田芳雄・三國連太郎・名古屋章ら皆さすがの貫禄ですが、何と言っても原田美枝子!彼女の魅力が大炸裂!!
※神保町シアターにて鑑賞

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』
(セルジオ・レオーネ)1968年:イタリア、アメリカ
165分の一大巨編。こういう作品をシネスコサイズの大きなスクリーンで観れることそのものが至福です。
※早稲田松竹にて鑑賞

『七月のクリスマス』
(プレストン・スタージェス)1940年:アメリカ
セリフ劇でフィクス中心の画面構成ですが、冒頭屋上での横移動は絶品。屋上と階下のやりとりによる高低の視覚交換も見事で、こんな風に映画が始まるとワクワクしますよね。
※シネマヴェーラにて鑑賞

『ムッシュとマドモアゼル』
(クロード・ジディ)1977年:フランス
ベルモンド特集最高でしたが、その中でも一番楽しんだ一本。オープニングクレジットの映像デザインとアニメとテーマ曲で一気にボルテージが上がります。内容はお気楽なコメディですが、モンキーパンチのルパンを彷彿させるいくつかのシーンに笑いながら涙腺がゆるみました。
※新宿武蔵野館にて鑑賞

次点の1本

『山の焚火』
(フレディ・M・ミュラー)1985年:スイス
すごくよかったという印象が強く残っているのですが、日記を見返すと悪口しか書いてない(笑)。自分の中に何が起こっていたのか想像すらできず、それはそれでおもしろいという…映画の内容と全然関係ないですが。
※ユーロスペースにて鑑賞

 

続きまして、劇場の休業中はやっぱDVDとかでいっぱい観ちゃうよねってことで、

2020年、非映画館にて観たベスト10本

『ペーパー・ムーン』
(ピーター・ボグダノヴィッチ)1973年:アメリカ
おもしろい映画というものはつまるところカメラワークやカット割等を駆使した映画文法に則った語り口が優れているのであり、それによって画面に目が釘付けになるのだということを実感した作品です。名作。

『絞殺魔』
(リチャード・フライシャー)1968年:アメリカ
分割画面がトリッキーですが、殺人鬼の異常さと哀れさを真正面から描いた、何と言いましょうか、はらわたにどっしりとパンチを食らわされたような、ショッキングなんだけどいつまでも心に残り続けるような…抽象的感想しか言えない自分が不甲斐ないんですが、とにかくいい!

『夜の人々』
(ニコラス・レイ)1948年:アメリカ
ニコラス・レイの処女作だそうですが、徹頭徹尾冷徹な眼差しでもって捉えられた端正な画面の連鎖に、老監督の達観すら感じてしまいました。

『大殺陣』
(工藤栄一)1964年:日本
画面にみなぎる緊張感がものすごい。画面設計も唸ってしまうほどかっこよくて食い入るように魅入ってしまいました。女性の扱いはひどいです。人権意識に関しては現代と60年代は隔世の感がある(かといって現代において改善されているわけではもちろんありませんが)ということも確認できます。

『自由を我等に』
(ルネ・クレール)1931年:フランス
冒頭の、おもちゃの木馬を横移動で捉え、逆方向横移動して元の位置に戻るとそれらを作っている囚人たちの姿の画になるというカメラワークに唸ります。基本、心に残る映画って出だしの演出が傑出していることが確認できます。ルネ・クレールはチャップリンを敬愛していたとのことですが、チャップリンを軽く凌駕していると私は思います。

『無防備都市』
(ロベルト・ロッセリーニ)1945年:イタリア
特に技巧を凝らさぬ直截さが却って画面に集中させる作品。作り手の主張はあるけどそれをこれみよがしに出さず、冷徹なまなざしというか、カメラと被写体に常に一定の距離があるというか、そういう描き方から却って作り手の主張が滲み出てくるような感じ。それってある意味かなり高度な技巧なのでしょうか?スパイク・リーの諸作品と好対照(唐突なスパイク・リー、ディス…大っ嫌い!)ですね。劣悪な映像なのに魅入ってしまいました。

『アルカトラズからの脱出』
(ドン・シーゲル)1979年:アメリカ
この画面の安定ぶりはなんなんでしょう?照明ひとつで刑務所を演出できる技術力。地味で起伏のない話なのにおもしろくってしかたなかったです。

『恐るべき子供たち』
(ジャン=ピエール・メルウ゛ィル)1950年:フランス
とっつきにくい感じは否めません。しかし原作を読んでもう一回観直したらぐっときました。フランスの、70年前の、子供たちの話…あらゆる面でいまの私とかけ離れたものを手繰り寄せるためには原作の助力が必要だったのかもしれません。あるいは原作を読む際に映画が助力になったとも言えます。映画も小説もそんな風にも楽しめるんだという発見が嬉しかったです。

『サンダーボルト』
(マイケル・チミノ)1974年:アメリカ
ハイライトの金庫破りが意外と退屈なのはご愛敬ですが、それも含めて70年代しか醸し出すことのできない間延び感というか、のんびり感のようなものを勝手に感じて楽しみました。

『イップ・マン序章』
(ウィルソン・イップ )2008年:香港
イップ・マンシリーズではこの第1作が一番好き。日本人を悪役に描いているので手放しでは喜べないですが、それでも十分に熱狂できました。シリーズを通じて好きなのが木人椿での練習風景。地味だけど何かいいんですよね。

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館長
館長
夢は映画館!と人前で言うようになってから20年以上が過ぎました。 時間が経つのは早いものです。 2014年にこのサイトを立ち上げ、2015年から仙台で上映会を開催し始め、2018年からは東京でも上映会を始めました。映画関連のイベントやワークショップにもあちこち顔を出してますが、相変わらず映画館ができる気配はありません。ひとまず本サイトのレビュー、もっと一所懸命書きます。フォローよろしくお願いします。
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