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仙台に未来の映画館を創る『館長日記』と『シネマレビュー』

コメディ

生きる歓び『パティーとの二十一夜』

(C) 2015 Arena Films, Pyramide Productions, Canal+

“映画”の範囲内であれば割とどんなものでも好きなので、ジャンルが偏ってしまわないように気をつけて見ている。とはいっても好き嫌いははっきり分かれる。自分が好きになれる映画を見ることのできた帰り道は、足取りは明らかに違う。現在京橋にあるフィルムセンターで行なわれている EU FILM DAYS で鑑賞した『パティーと二十一夜』を見た帰りはついニコニコとしてしまい、いつもと違う歩調で帰宅した。

四十になった女性キャロリーヌ(イザベル・カレ)が母の死をきっかけに南仏の村を訪れ、そこに住まう人々との交流がきっかけとなり自分の新しいアイデンティティを見つける、といった物語の作品だが、映画に登場する何もかもが本当に素晴らしく大らかで、歓びに満ち溢れている。性に奔放なパティーをはじめ、隠れネクロフィリアの老人、意味深な雰囲気を出す村の憲兵、強烈な印象を残す訛りの激しい猟師、死してもなお自由に生きる母など、登場人物がとにかく魅力的。そんな奇妙な人々に囲まれて、初めは内向的だったキャロリーヌが変化していく過程もとても素晴らしい。変化につれて、彼女はどんどん感情を出すようになるのだ。村人からの影響で生きる歓びを見出したキャロリーヌの最後の表情から、心の解放を感じることができた。

この映画の強烈な部分は、通常相容れないものが混在しているところにもある。例えば、食卓の場でネクロフィリアについて話す。散歩しながら性生活についてあけすけに話す。作業をしながらセックスに誘う。死んだ母の幽霊を目撃したと真面目に伝える。そんな風に、性と死と生活がひとつの空間に同時に存在して日常を作り上げている。そして明暗差をくっきりとつけた撮影がその日常をより魅力的に、映画をより幻想的に構築していた。

生きる歓びを得たキャロリーヌのように、私も映画によって歓びを見出しているのだと思った。

『パティーとの二十一夜』
監督:アルノー&ジャン=マリー・ラリユー
出演:イザベル・カレ、カリン・ヴィアール、アンドレ・デュソリエ
製作年:2015年
製作国:フランス
上映時間:115分

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kiki aoki
本当は息を吸うように映画を見たいのだけれど、と思いながら毎晩眠りにつく。

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