じゃないけれど、玉石混交はなはだしいホラーの銀河を長いこと漂流しているうちに、今では冒頭の5分くらい見れば、その作品のあり/なしを見抜けるようになった。
『サバイバル・ドライブ』は元々、近所の某ツタヤで5枚借りるとお安くなるというキャンペーンを展開していて、お目当ての映画と一緒に数合わせのためだけに借りた映画で、実はかれこれ4回くらい借りてはその都度、未鑑賞のまま返却するという無益を繰り返していたのだが、このたび重たい腰をようやくあげて鑑賞してみた。
のっけから「つかまれ」た。
往来のない山奥で車がエンコした女性。もち携帯は圏外。そこへ親切そうなイケメンが徒歩でふらっと現れ、なぜか上半身裸になってちゃちゃっと車を修理。女は、わーステキ、となるもやっぱり警戒してその場で礼を言ってお別れ。んだば、結局は後ろ髪を引かれて、男を近くのインターまで乗せていくことに…
が、このイケメン男が車に乗るやいなや喜々として下ネタを連発、その変態の本性を急ピッチで露わにしていく。この導入部の展開が実にスピーディによい。
もちろん彼女もこんなド変態に付き合っている気は毛頭なく、容赦なく車からぶっ叩きだす。それもかなり思い切った方法で。
ここから物語は急転、かの名作『ヒッチャー』風の展開が待っているのかと思いきや、変態に見初められた彼女の文字通りのサバイバルが繰り広げられる。
人間は生きるためにどこまで必死になれるのか。水が尽きたら何を飲む? 食料が尽きたら何を食べる? そして不可避の死が目前に迫ってきたら、何を犠牲にする?
しまいには『SAW』ばりの痛い選択を強いられる場面もあるし、最後のホラー的急展開も楽しい。
アメリカの田舎道はヤバい奴らの巣窟であることを再認識させられる、無難に楽しめる一本だ。
『サバイバル・ドライブ』
監督:イアン・ソフトリー
出演:ジュリアン・ハフ、テディ・シアーズ
製作国:アメリカ
製作年:2015
上映時間:86分
(c) Blumhouse Productions, LBI Entertainment, Ombra Films, Universal Pictures
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